大学時代にそんな題名の卒論を書いた。
「カリスマ」。
理論では表現できない類まれな求心力を持った存在、と。
マイケル・ジョーダン、モハメッド・アリ、ジョーモンタナ、ロベルト・バッジオ、辰吉丈一郎…。
実際、現役時代を生で見れたのが辰吉だけだったんだけども、彼の国内最終戦、京セラドームで見た、スタジアム全体の異様な光景は、辰吉のもつ、ボクシングの技術以外の力を見たものだった。
昨日、阪神ー広島のオープン戦を見に行ってきた。両チームの仕上がりを見にいったのだが、広島の練習を見ていて、ひとりの選手に眼がとまった。
前田智徳である。
フリーバッティングの初球、僕が見た選手で唯一、前田は初球を逆方向へ打ちこんだ。
やっぱ、これくらいの選手になると、初球からは引っ張らんのかぁと感心したものだった。
6回表、阪神の2番手・二神が苦しんでいた。1失点のあと二人の走者を置いて、代打にコールされたのが前田だった。
数少ない広島ファンからは歓声が聞こえる。阪神の今の一番人気は城島だが、彼の声援とはまた一味違った雰囲気があった。
初球、甘めのストレートを前田は一閃。
右翼スタンドに吸い込まれた。
クールな前田が両手を挙げていた。鳥肌が立った。
左翼スタンドの広島ファンも、数は少ないけど、大喜びしてた。
そのとき、思った。これがマツダスタジアムだったらどうなっていただろうか、と。
辰吉の国内引退試合で見た京セラドームのようになっていたのではないか。
カリスマ・前田を観ることができた。
今シーズン、マツダスタジアムでは何度、そのシーンが見られるのだろうか
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