不思議なことが起きていた。
京都大会決勝が行われた、「わかさスタジアム京都」でのことである。
それこそ、会社の取締役でもあるかのような口調で、あるカメラマンが言ったのだ。
「ちゃんとやってくれなきゃ、胴上げの意味ないから。あしをこう向けてくれって、いっているだろう」
怒りを超えて、呆れてしまった。
優勝の儀式、「胴上げ」での一幕である。
準優勝校がむこうにいるという配慮のなさも問題だが、何より、「やらせ」の写真を作ろうとする姿勢、それを、球児たちの努力も知らない人が偉そうに指示しているのが腹が立った。
スポーツメディアにかかわる人間の一人として、この仕事のだいご味は、何が起こるか分からない一瞬一瞬の出来事をとらえ、伝えることであると思っている。それはライターであれ、フォトグラファーであれ、同じであるはずだ。
優勝を決めたチームには、それこそ、それまで歩んできた道のりがある。その苦労を超えてきたからこそ、その褒美として優勝がある。いわば、優勝は彼らのものであり、彼らを取り巻いた人たちのものである。
胴上げは、選手たちがその喜びを表現してやったらいい。それを黙って、伝えるのが我々、メディアに携わる人間の役目ではないのか。
京都外大西の優勝に沸いた、わかさスタジアム。一人のカメラマンの言動に、スポーつメディアのひとりとして、胸が痛かった。
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