『検証甲子園2010』NEWS Vol.13
1巡目は全球団が大学生投手を指名した今年のドラフト会議。
検証甲子園、好評発売中!
そんな中、高校生で1番最初に名前を呼ばれたのは、遠投120mの強肩、強打の捕手・山下斐紹(習志野)だった。
4球団が競合した斎藤佑樹の外れ1位という形でソフトバンクが指名。
昨年こそ田上秀則が長打力を発揮したが、城島健司(現阪神)以来の正捕手を確立できていない。
期待された05年高校生ドラフト1位の荒川雄太(日大高卒)は伸び悩んでおり、その他の捕手は30歳前後。
1年目からファームでの出場機会に恵まれそうで、憧れている巨人・阿部慎之助のような打てる捕手を目指す。
その山下を筆頭に、今ドラフトは高校生捕手の指名が5人(育成枠除く)と多かったことも1つの特徴。
将来性の高さを期待される184cmの大型捕手の中谷将大(福岡工大城東・阪神3位)。
又野知弥とともに北海道初となる同じ高校から同時に2人指名、しかも同一球団から指名された西田明央(北照・ヤクルト3位)。
今春のセンバツでも見せた自慢の強肩から投じられる低い球筋の送球に目を見張るものがある江村直也(大阪桐蔭・ロッテ5位)。
昨夏甲子園優勝を経験している磯村嘉孝(中京大中京・広島5位)と、各地区のナンバー1捕手の名前が読み上げられた。
中谷はバッティングがプロのレベルに達するには少し時間がかかりそうだが、阪神には城島がいるだけにじっくりレベルアップしていきたい。
西田、磯村はバッティングを伸ばす方向に進む可能性もあるだろうが、捕手で勝負するなら西田は中村悠平、磯村は會澤翼という年齢の近い先輩の背中をまずは追いかけることになる。
大学生に好投手が多かったあおりを受ける格好で、高校生投手は12人(育成枠除く)と少人数となった。
一時は東海大への進学と見られていたものの、プロ志望届けを提出して注目された一二三慎太は阪神から2位指名を受けた。
阪神は野手としての可能性にも魅力を感じているというが、その身体能力の高さ、右肩の痛みで満足に投げ込みもできなかったにもかかわらず短期間でサイドスローに転向した対応能力、そして何より井川慶(ヤンキース)以来、スケールの大きさを感じさせるエースが出てきていない球団だけに、まずは再び甲子園のマウンドに立つ姿に期待したい。
4位の岩本輝(南陽工)もまだまだ球のスピードは速くなるだろうし、伸びていきそうな投手である。
巨人が2位で指名したのは糸満の宮國椋丞。今夏の沖縄県大会で糸満を42年ぶりの決勝に導いた右腕で、その素材の良さは早くから注目されていただけに、育成にも力を入れる巨人の手腕が問われそうだ。
大きく化ける可能性を秘めていそうなのが、西武が4位で唯一、指名した187cmの長身から投げ下ろす右腕・前川恭兵(阪南大高)。高校時代は怪我が多かったように、まだ身体ができていない印象だが、西武にはお手本になる投手が多いだけに順調に成長すれば楽しみだ。
PL学園のスラッガーコンビは吉川大幾が中日2位、勧野甲輝が楽天5位での指名となった。楽天はこれまでのドラフトではまずは投手ということで、将来、中軸を担えるような打者をほとんど指名してこれなかったが、チームを背負って立つ長距離砲が喉から手が出るほど欲しているのが現状。同4位の榎本葵(九州国際大付)、今季ファームで12本塁打をマークした08年ドラフト2位の中川大志らと競いながら大きく育つことを球団は望んでいる。
山田哲人(履正社)は外れの外れとはいえ、本人も驚きの1位指名をヤクルトからもらった。現状では二遊間の若手選手で台頭してきているのは川端慎吾くらいなだけに、1年でも早く1軍に定着できる実力を身につけたいところだ。
日本ハムの外野陣は糸井嘉男こそしばらくは安泰だが、森本稀哲のFA流出の可能性、稲葉篤紀は来季で39歳を迎えるということがあり、高校生の外野手を2人獲りに来た。狙いは明確。広い札幌ドームを本拠地とするだけに、ただバッティングがいいだけでなく、俊足かつ守備もいい西川遥輝(智弁和歌山)、谷口雄也(愛工大名電)をそれぞれ2位、4位での指名となった。
「情報不足による大失敗だった」と岡田彰布監督が嘆いたオリックスは1、2位とも高校生となった。
1位の後藤駿太(前橋商)は三拍子揃った外野手で、2位の三ツ俣大樹(修徳)は上背こそないが馬力のある内野手。
助っ人選手に頼らず、数年後にはT-岡田の前後を彼らが打つようになっていれば面白い。
(文=鷲崎 文彦)


