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令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.07.08


都立江戸川の練習模様

近年、選手主体でチームを運営している学校は増えているように感じる。ひと昔のように、指導者の一言でチームがまとまり、同じ方向に進んでいくのではなく、選手たちの主体性を大事にして、指導者はあくまで支える立場になる。こうした構図で日々練習をしているチームは多い。

東東京にいる都立江戸川も選手の主体性を重んじるチームカラー。その戦いぶりはSJB(セルフジャッジベースボール)と称されるほどである。
練習はもちろん、試合では自分たちで攻撃の手段を考える。監督からサインは出ない。もっと言えば選手交代、投手の継投策についても、選手たちにゆだねられている。選手たちの主体性を尊重するのが、SJBだった。

令和の時代に適したSJBの姿

2024年4月に異動した前任の園山蔵人監督が2020年から導入したSJBは、年を重ねるごとにバージョンアップしている。都立江戸川を巣立ったOBたちの大学で活躍する姿が、現役選手のモチベーションの向上。さらに都立江戸川ではSJBをやっているということを、自前のホームページやSNS活動を通じて知った中学生が入学することで、元々の能力が高まってきたからだ。

実際にチームの主将、都立江戸川ではヘッドコーチと呼ばれる役職に就く片倉裕太は、まさに中学時代に都立江戸川のSJBに惹かれて入学を決心した選手の1人。「中学3年間を振り返ると、自分で考えてプレーすることだったんですが、都立江戸川に入ればすごく考えて野球ができる」という理由で進路を選択したという。

各選手の役割表

そんなSJBだが、試合ではノーサインで戦う姿が印象深く映ってしまうが、練習方法も新鮮。練習メニューを選手たちで決めるのはもちろんだが、そのときはスキルリーダーと呼ばれる役職の選手たちが、チームで掲げている目標に対して必要な練習を組む。

その上にスキルリーダーたちをまとめるチーフリーダー、そしてチームの方向性を決めるヘッドコーチ・片倉主将がいるという形で、チームが編成されている。まるで会社さながらの組織図。そして共有の課題を認識するためにも、選手間のコミュニケーションは普段の練習から欠かせないものである。

「それぞれのキャプテンが話し合って練習メニューを決めていますので、コミュニケーションは大事にしています。だから学年に関係なく、練習で気が付いたことはどんどん発言するように意識しています。
実際、今年は上級生が積極的に動くようなチームを目指すことを所信表明したので、まずは上級生が密にコミュニケーションをとったことで、より良いチームになってきました」(片倉主将)

ヘッドコーチ・片倉裕太主将

ある種、令和の高校野球にマッチしているともいえるSJB。選手たちの意識、レベルを年々バージョンアップさせつつも、「変化は必要だと思うので、良い要素を取り入れている」と片倉主将が話すように、最適な形に変えている。
事実、この春からは、選手起用を指導者にお願いするようにした。片倉主将いわく「選手同士で様々な意見が出てきて、どうしても決めきれない」ということで、指導者の協力を仰ぐことにした。型にとらわれることなく、ヘッドコーチ・片倉主将たちの世代にあった最適なSJBの形で、集大成の夏を迎えようとしている。そこも選手たちの主体性と言ってもいいだろう。

異動した恩師の教えで夏を戦う!

そんな都立江戸川、春季大会はブロック予選から登場。攻玉社多摩大聖ヶ丘に勝利して4月からの都大会へ出場。特に前任の園山監督が3月まで指導し、4月から異動することを知っていたヘッドコーチ・片倉主将たちは、「何とかして最後は勝とう」とチームが一致団結して戦って、予選突破を果たした。

そして4月。都大会では初戦で聖パウロと激突。西東京の実力校相手に、立ち上がりに4点を失う苦しい試合展開のまま逆転できず、5対9で春季大会を終えた。

「春は全体的に投手を中心に、最初から自分たちのペースを握ることができず、サインを出そうにも、出来ることが限られてしまうケースが多かったです。だから聖パウロにも負けてしまいましたが、『勝てた試合だった』と反省しましたね」(片倉主将)

都立江戸川の練習模様

春を踏まえて、バントをはじめとした精度を高めること、打席での粘りなどを夏に向けて意識している一方で、「自分たちで『いつも通りだから、ここからだ』って声を掛け合って、劣勢をひっくり返すことができたのは収穫だった」と予選での勝利は、確実な自信になった。

6月の抽選会を経て、都立江戸川は9日に都立大森との初戦が決まった。「何としても大会を勝ち切ろう、という雰囲気があって、チームは良い状態です」とヘッドコーチ・片倉主将は集大成の大会に向けて、十分な手ごたえがある。だから、夏の大会への闘志もギラギラと燃やしている。

「園山先生に教わったSJBは高校野球では新しいやり方だと思いますが、そのSJBのすべてを、全員で夏の大会にぶつけたいと思います」(片倉主将)

異動した恩師から教わった野球で最後の夏を迎える都立江戸川。3年間磨きあげた選手たちの主体性を武器に、東東京を沸かせることができるか。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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