Column

侍ジャパン監督を輩出している堀越 1997年以来の甲子園へ、OB監督が伝える「野球人たる前に、堀越健児たれ」

2024.07.09


堀越・築野陸主将

2023年の夏、5季連続甲子園を狙った二松学舎大附を3回戦で破った堀越。勢いそのまま、4回戦・区立九段中等教育にも勝利してベスト16入り。5回戦で城西大城西に敗れたものの、大会を通じて注目を集めた学校の1つである。

二松学舎大附に勝利した先輩から学んだ、「実力だけではない」

当時のメンバーだった築野陸は、先輩たちの背中から多くのことを学んだ。
「身体の大きさ、技術では勝てない。けど自分たちの野球は何なのか、それを先輩たちは理解しているのをベンチからでも分かりました。だから、実力だけではないことを、本当に間近で学びました」
現在、堀越を引っ張っている主将・築野は、1年前に先輩たちが二松学舎大附相手に見せた戦いぶりを振り返りながら、「継続していかないといけないと思っています」と気を引き締めた。

堀越は秋、ブロック予選の初戦で工学院大附に2対11でコールド負け。春夏合わせて10回の甲子園、センバツに至っては準優勝を経験。侍ジャパン・井端弘和監督らを輩出している伝統校としては、悔しすぎる敗戦だった。

堀越は9月から野口晃生監督が新たに就任。井端監督の1学年後輩にあたり、現役時代をともに堀越で汗を流し、社会人野球も経験した実績豊富な野口監督だが、就任してすぐに結果は出なかった。

堀越ナイン

「何もできず、申し訳なかった」と野口監督は悔しそうに秋を振り返りながら、春への巻き返しを図るべく、行動に移した。
「学校とも話をしまして、日本一良いチームを作ろうと話しました。
現役時代、野村監督に指導いただく時期がありましたが、そのときに『野球人生よりも、その先の人生の方が長い。だからその時々で一生懸命やれる人が応援をされるし、必要ともされる。そんな人間になってほしい』と言われたことがありました。
ですので、元気に明るく挨拶するところから伝えました」

築野主将に聞いても、「野球人たる前に、堀越健児たれ、ということで堀越高校の生徒としてやるべき行動を指導してくれています」ということで、以前まで以上に細かく徹底して指導をしてもらっているようだ。

実力は足りてなくても自信あり

とはいえ、良いチーム=強いチームというわけではない。もちろんある程度の体力、技術力も磨くことを忘れていない。

「秋を終えてから敗因を考えたんですが、選手同士で自分たちを追い込みきれない。だから体力はもちろん、ハートの部分でも物足りない部分があることに気が付いたんです」(野口監督)

この課題に気が付いた野口監督は、トレーニングなどを中心に選手たちの心身を鍛えた。だが、それは決して押し付けではなくて「自分たちで追い込んでやりなさい」とやらされるような練習にはしなかったという。

そこには「野球ってやっぱり楽しい」と思ってほしいという野口監督なりの考えがあるからだ。
「自分は、年齢に関係なく野球人は全員友達だと思っています。だから人脈は広がりましたし、母校の監督を務めることができました。だから出来るだけ選手たちには続けて欲しいんですけど、そのためには野球を楽しくできないといけない。
とはいえ、ふざけて楽しむんじゃなくて、頑張っていたら新しいことができたというところに楽しさを見出してほしい。そう思って指導しています」(野口監督)

築野主将に話を聞いても、「新しい野球の考え方に触れることで、視野が広がってきて楽しいです」と戦略の部分でも野球の楽しさを感じながらプレーをしているようだ。

堀越・野口監督

高いモチベーションをもって冬を乗り越えた堀越は、ブロック予選を無事に突破。4月からの都大会でも順調に勝ち上がっていき、3回戦で明大中野と対戦。勝てば夏のシード権が獲得できる試合だったが、7対9で惜敗。シード獲得には至らなかった。

築野主将は「チーム全体の甘さが、試合に繋がったと感じています」と日ごろの練習、さらには学校生活も含めて反省をしている様子だった。

残された大会は夏の大会のみ。野口監督にとって初めての夏になる。ここまでは「秋の時と比べて全然違うチームになりましたし、3年ぐらいやっている感じですね」と苦笑いを浮かべるが、1年間の手ごたえは十分のようだ。

築野主将も夏に向けて気合は十分だ。
「自分たちは強豪校と比較すると実力は足りていません。それでも勝てるのが野球というスポーツだと思いますので、秋のブロック予選敗退の悔しさを胸に積み重ねてきた練習の成果を夏に発揮して甲子園へ行きます」

1997年を最後に甲子園から遠のいている堀越。この夏こそ、聖地へ返り咲くことはできるか。新監督とともに挑む2024年の夏に注目したい。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.13

モイセエフ擁する豊川、初の夏の甲子園へ戦力向上中! カギは超高校級スラッガーの前、投手陣は急成長 センバツの雪辱をはたすか!?【注目チーム紹介】

2024.07.12

島根が開幕!島根中央が7回コールドで完封勝利を挙げる【2024夏の甲子園】

2024.07.12

埼玉では北本・生井がシード川越西を完封、川越工はサヨナラ勝ち【2024夏の甲子園】

2024.07.12

岩手では盛岡工が逆転勝ち、花巻北、盛岡中央も初戦を突破【2024夏の甲子園】

2024.07.12

北海敗退、連勝は29で止まる!札幌光星、札幌日大、札幌大谷が南北海道8強へ【2024夏の甲子園】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.07.09

キャプテンも、シートノック担当女子マネ兼助監督も野球未経験……それでも強豪に善戦した都立校が教えてくれた高校野球のすばらしさ【24年夏・東東京大会】

2024.07.09

下町の実力都立校・紅葉川が“本拠地”で初戦突破!エース8安打を浴びながらも完封勝ち【24年夏・東東京大会】

2024.07.07

西東京大会が開幕!拓大一がコールド発進、都立東村山西が66得点の圧勝【2024夏の甲子園】

2024.07.09

4年ぶり復帰の指揮官、選手との信頼関係構築のカギは「公式X」! 光泉カトリックが初戦突破【24年夏・滋賀大会】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】