<仙台六大学野球秋季リーグ戦第6節:東北福祉大4×-3東北学院大(延長12回)>6日◇2回戦◇東北福祉大野球場

 タイブレークの延長12回までもつれた死闘を制したのは、東北福祉大だった。

 東北福祉大・猪俣 駿太投手(2年=明秀日立)、東北学院大・小野 涼介投手(1年=一関学院)による甲子園経験投手同士の投げ合いで始まった一戦。9回まで1対1と手に汗握る攻防が続き、タイブレークに突入した。10回に2点ずつを取り合い、11回は両チーム無得点で12回へ。最後は東北福祉大の4番・吉田 浩輝外野手(4年=九州国際大付)がサヨナラの左前適時打を放ち、試合を決めた。

 東北福祉大の勝利に大きく貢献したのが、来秋ドラフト候補に挙がる豪腕・堀越 啓太投手(3年=花咲徳栄)。10回から登板しこの回に2点を失うも、11、12回は本塁を踏ませず。フォークが暴投になり1点を与えた以降はオール直球で、投じた40球のうち9割以上が150キロ超え。最速は155キロを計測した。

 暴投や四死球はあったものの、終わってみれば3回無安打4奪三振と圧巻の投球。堀越は試合後、「勝負が決まるまで投げるつもりだった。みんなに声や守備でも助けてもらったので、みんなでつかんだ1勝です」と胸を張った。

 常時150キロを超える直球は1年時から注目を集めており、今年は大学日本代表候補合宿に初招集された。大学ラストイヤーにつながる今秋は「来年のドラフトに向けて大事な秋ですし、チームの勝利に貢献するという意味でも先発をしたかった」。ドラフトも見据え意気込んだシーズンだったが、今夏のオープン戦は制球難に苦しみ、先発ローテーションの座を奪うことはできなかった。

「ほかにチームの勝利に貢献するかたちがないか探そう」と気持ちを切り替え、前節までは中継ぎで2試合、計2回を投げ無失点。この日は接戦で本領を発揮し、「オープン戦からチームに迷惑をかけていたけど、今日は好投ができて自信になりました」と話すように、徐々に感覚を取り戻してきた。

 大学日本代表候補合宿では、今秋のドラフト1位候補に挙がる愛知工業大・中村 優斗投手(諫早農)の球に衝撃を受けた。最速159キロ右腕から握りを教わると、直球の質やフォークの球速、キレが向上。実戦でも以前にも増して空振りを奪えるようになった。大学球界屈指の好投手と出会ったことで、投手として一段と成長したのも確かだ。

「中村さんは『一番の持ち味はコントロール』と言っていた。あれだけのスピードと変化球を兼ね備えた上で、コントロールを自信にしているところがすごい。自分はコントロールが課題なので、一番に『コントロール』と出てくるくらい改善したいです」と堀越。現状に満足することなく上方修正を図り、優勝のかかる次週の仙台大戦も一球一球に魂を込める。