協会創立50周年の節目の年を迎えた日本ポニーベースボール協会。球数制限の導入や肩肘検診を実施するといった、協会全体が選手たちのコンディションに目を向けるだけではなく、リエントリー制度を採用することで選手たちの出場機会を拡大するといった、先進的な取り組みが特徴的である。

選手ファーストで大会運営を進めていくポニーリーグだが、もう1つのポイントとして大きな柱となっているのが、国際大会への出場機会が多く存在していることである。

日本野球の強さはポニーでも健在!

そもそもポニーベースボール協会の本部は、アメリカに所在する。この点が他の中学硬式団体とは決定的な違いで、協会そのものが世界とつながっている分、国際大会を開くことが出来るのだ。

普通であれば、代表チームに名を連ねるチャンスはかなり少ない。全中学球児の憧れであるU-15侍ジャパンであったり、各団体で代表チームを編成したりが、典型例ではあるが、ポニーの場合はもっとチャンスが多い。

中学3年生と1年生の体力の差によるオーバーワークでのケガのリスクや、出場機会の増大で野球を覚えてもらうことを理由に、中学生だけでも、以下の代表が存在する。

ブロンコ :11歳~12歳
ポニー:13歳~14歳
コルト:14歳~15歳

中学生以外の年代に目を向けると、最年少は5、6歳のチーム、最年長は23歳以下を対象にしたチームと全体で8つの代表チームが存在するが、そのなかでも日本は上記3つの代表チームを毎年編成。ブロンコは中学1年生、ポニーとコルトは中学3年生をメインにして毎年メンバー構成をして、世界の猛者たちと熱戦を繰り広げている。

とはいえ、世界と戦うには、まずはアジアの頂点に立つことが絶対条件。毎年6月に開催されるアジア大会に出場し、アジアのライバルたちと死闘を見せている。決して楽な道のりではないものの、日本は2023年、ブロンコ、ポニー、コルトすべてでアジア制覇。ワールドシリーズでもブロンコとポニーは世界一に輝くなど、日本の強さはアジア、そして世界でも際立っているのだ。

各代表が見せたアジアでの戦いぶり

ワールドシリーズ連覇を目指し、2024年も代表活動が始まり、先陣を切って動き出したのはブロンコ代表。まずは春に全国各地で代表選考会を開催。最終的に15名の選手が選出され、SKポニー・鈴木友弥捕手が主将となってブロンコ代表が編成された。

6月初旬には決戦の地・フィリピンへ飛び立ち、アジア大会に参戦。「優勝したい」という鈴木主将の強い思いを中心に、代表選手たちは持てる力を存分に発揮。初戦から28対0の4回コールドで勝利すると、2戦目も24対0の4回コールドと大会序盤から快進撃を見せる。

勢いそのままに勝ち上がり続け、迎えた決勝は台湾との一戦。初回から台湾打線の猛攻を受けて5失点。手痛い立ち上がりだったが、日本の勢いは決勝戦でも止まらず。神山大地(SKポニー)の本塁打で2点を返すと、徐々に点差を縮めていき、5回には7対5と逆転成功。

最終回に3点を返されて、崖っぷちに追いやられたが、直後の攻撃で神山、山田悠生(羽田ポニー)の適時打でサヨナラ勝ちを飾り、2年連続でアジアの頂点に立った。

そんな後輩たちの戦いぶりに刺激を受けて、ポニーとコルト代表も、アジアを舞台に躍動する。

各地域で編成した代表チームのみが参加した広澤克実杯全日本地域対抗選手権大会 兼 日本代表選手選考会選考会。5月中旬に開催された大会において、活躍が目立ったメンバーで、ポニー、そしてコルトの代表チームが編成された。

ポニーはポニー佐賀ビクトリー・小柳祥太郎、コルトはつくばJWポニー・鍋谷葵を主将に抜擢して、アジア大会に挑んだ。

ポニー代表は初戦から台湾相手に6対5で勝利。幸先よくスタートを切ると、その後の試合でも連勝を重ね、大会連覇に王手がかかった決勝戦では台湾と再戦する。

互いにスコアボードに0を並べ続ける中で迎えた6回、台湾に先取点を与えてしまうと、打線はこの1点が遠く、優勝を手にすることができなかった。

一方でコルト代表は、第2戦でAGILAS相手に2対3で惜敗する苦しい戦いとなったが、何とか決勝まで勝ち上がり、決勝ではフィリピンAdmiralsに5対4で勝利。4対3の1点リードで6回を終え、残りアウト3つのところまできたが、最終回にフィリピンAdmiralsに追いつかれてしまった。

ただ直後の攻撃、日本は2死ながらランナーを三塁に置いた状況で、相手バッテリーのミスでランナーが生還。これが決勝点となって、コルト代表はアジアの頂点を獲った。

この優勝には、主将・鍋谷も「最高です」と喜びを爆発させていたが、劇的な勝ち方での優勝だけが理由ではないはずだ。

中学生ながら異国の地に飛び立って、同年代のアジアのライバルたちと野球をする。生活や文化の違いだけではなく、野球でも普段とは違うところがあるなど、慣れない環境が多く、難しさがあるからこそ、同じ優勝という結果でも嬉しさは違うだろう。

中学生という大事な時期に、国際大会を通じて世界を知ることは、他の中学硬式団体にない強みだ。今回の代表に選ばれた選手たちが、アジア大会を通じて成長し、高校野球の舞台で活躍すること。そして今後のポニーの発展が楽しみである。