<秋季東京都高校野球大会:大東大一 2-1 新宿>7日◇1回戦◇コトブキヤスタジアム

 大東大一の宮城 智行監督は春日部共栄の出身で、高校生の時は来年3月で勇退する本多 利治監督の指導を受けていた。「目指すのは本多先生から教わった、ピッチャーを中心に守る野球です」と語る。その言葉通り、2-1というロースコアの試合を守り切った。

 中でもエース、左腕の辻井 晴斗(2年)の好投が光った。最速は130キロ台だが、チェンジアップやカットボールなどの変化球を効果的に使い、1回から4回までは1人の走者も出さない完璧な内容だった。この秋から背番号1を背負い、「重みが違います」と言う辻井だが、堂々たる投球だ。

 辻井が好投している間に、打線は3回裏に二塁打の7番・田中 悠雅内野手(2年)を、9番・大石 祐太捕手(2年)のスクイズで還し1点を先制。4回裏には新宿の2つの失策で三塁まで進んだ走者を、6番・佐藤 友哉内野手(1年)の右犠飛で還し、1点を追加する。

 2点のリードで少し余裕ができた辻井だが、6回表に4安打に1死球で1点を失う。「ギアを上げる必要がありましたが、上げきれず失点してしまいました」と辻井は反省する。しかしこの回、新宿が安打で二塁走者が一気に本塁を突いたものの、外野手の好返球で刺される場面が2度もあった。「行ってもいい場面。外野手のコントロールが良かったです」と新宿の長井正徳監督は言う。新宿の積極的な攻めの走塁だったが、大東大一の宮城監督は、「バックホームは何度も練習しています。ワンバウンド、ツーバウンドでもいいから、冷静に投げろ、と言っています」と語る。まさに守り勝つ野球の真骨頂といったところだ。

 6回を除けば、大東大一の辻井は走者を出しても、危なげない投球であった。「リズムよく投げることができました」と言う辻井は、9回を完投して球数は104。被安打6、失点1、奪三振12の好投であった。

 宮城監督の恩師である春日部共栄の本多監督は、来年3月31日で勇退することを公表している。それだけに、「いい報告ができたらいいと思います」と宮城監督。2回戦は国学院との対戦になるが、このブロックはどの学校にも上位進出の可能性があるだけに、今後の戦いが注目である。

 なお、敗れた新宿のエース・生田 琉晟(2年)も8回を投げて、球数は88で被安打4、自責点1の好投。失策が点に結びついたことが惜しまれるが、今後に期待を持てる戦いであった。