<文部科学大臣杯第76回全日本大学準硬式野球選手権大会:中京大6-0京都先端科学大>◇24日◇1回戦◇さがみどりの森県営野球場

9年連続57回目の全日本大学準硬式野球選手権大会への出場となった中京大が、6対0で京都先端科学大を下した。

中京大は5回、3番・鈴木 翔人内野手(4年=敦賀気比出身)の適時打などで3点を先制。主導権を握ったかのように思われたが、迎えた6回裏に二死1、2塁のピンチを招く。ただ、ここでマウンドの中京大・西村 祐人投手(4年=中京大中京出身)は渾身のストレートで空振り三振を奪って無失点。雄たけびを上げた。これには「強いボールを、良いところに投げられた」と評価していた。

最終的に7回8奪三振の快投で降板。3塁すら踏ませない好投を見せると、打線も8回に3点を加えて6対0で勝利した。勝利に貢献した西村は「今日は高めに抜けることがあり、調子はいまいちだった」と反省しながらも、ここぞで見せる気迫あふれる投球は、甲子園交流試合で強打の智弁学園相手に力投し、いまはNPBで活躍する同級生・髙橋宏斗投手(現中日)の姿が重なった。

「(宏斗とは)連絡は今でも取ったりしますけど、最前線で活躍していることは凄いです。なので今日もなんですけど、普段から試合前は宏斗の奪三振集の動画を見て、良いイメージを作ってマウンドに上がっています」

少し恥ずかしそうにもしていたが、高校野球3年間を知っているからこそ、今の凄さは身に染みているようだ。と同時に、西村自身の道しるべになっている。

「入学した時から、能力は凄かったです。なのに、2年生の夏に負けてからストイックな姿勢に磨きがかかったので、自分を含めて当時の仲間は毎日刺激を受けて、自然と引っ張られました。だから、『宏斗がいれば大丈夫だ』って思うようになりましたし、今は準硬式ですけど、『宏斗みたいな存在になれるように頑張ろう』と思って、自分は取り組んでいます」

3時間の限られた時間で、自ら考えて野球に取り組む中京大の環境で、西村はウエイトトレーニングやジャンプ系のメニューを通じて筋力強化。と同時に、「左のお尻、股関節で受け止める」感覚で下半身を使うことで、ストレートの球速を向上。中京大中京時代、最速136キロだったストレートが、145キロまで上昇した。その姿は中野監督の目に「(周りの)手本になってきた」と言わせるほど。まさに戦友・髙橋に近い存在となってきた。

この日も144キロをマークするなど、初回から140キロ超えの速球を連発。高校野球からの成長を見せた。

高校3年生の夏は、新型コロナウイルスの影響で、春夏ともに甲子園は開催されず。独自大会の決勝で先発登板したが、「センバツがなかったことは悔しいし、不完全燃焼だった」とどうしても心残りはある。だからこそ、この夏は野球人生の集大成と位置付け、「優勝しかありません」と闘志を燃やしている。

ケガの影響から準硬式の道を選び、最初の頃は「硬式野球に未練があった」というが、中京大で過ごしていくうちに、準硬式の世界にのめり込んだ西村。チームを優勝に導き、恩返しをすることができるか。大会での躍進を期待したい。