音楽プロデューサーとしてCHEMISTRYやいきものがかりの結成、デビューなどで手腕を発揮する一方で、半世紀を超えるアマチュア野球観戦により野球の目利きでもある一志順夫。連載コラム「白球交差点」は、彼独自のエンタメ視点で過去と現在の野球シーンとその時代を縦横無尽に活写していきます。

TV観戦から一転、猛暑の中、横浜VS東海大相模の決勝に足を運ぶ

 甲子園の季節がやってきた。第106回全国高校野球選手権大会は、甲子園で初開催されてから100年を迎える大会でもある。

 筆者は川崎市在住なのでどうしても毎年神奈川県大会を注目せざるを得ない立場と状況にあり、例年時間の許す限り現場チェックしてきたのだが、今年は記録的な猛暑と自身の体調を言い訳に、ひたすら自宅に引き篭もりTVKの放送観戦を決め込んでいた。とはいえ、いよいよベスト16あたりから腰が浮き始め、気がつけば気温35℃の中、7月24日、決勝のハマスタに足を運んでしまった。

 横浜VS東海大相模。問答無用の東西両横綱である。横浜は昨夏の慶應義塾との悔恨の一戦があるゆえ、リベンジ欲は半端ではないところだし、東海大相模もその両校に久しく行く手を阻まれてきたので、この試合に賭ける思いはひとしおだろう。両校の決勝での対決は2022年以来9度目で、その時は横浜が1対0で優勝している。ところで、よくみるとこの10年で横浜東海大相模、慶應義塾以外のチームは甲子園に出場していない。一番最近では松井 裕樹(楽天‐パドレス)を擁した桐光学園が制した2012年までさかのぼる。

「神奈川を制すものは全国を制す」は過去の戦績をみてもあながち大袈裟ではない。選挙区における「一票の格差問題」と同様、やはり東京にならって東西2地区に分ける方が合理的でないか。節目の記念大会では東西(南北で線引きした時もあった)2校の出場が可能になるものの、通常はこの3チームの壁は余りにも厚く高いので、桐光学園桐蔭学園横浜創学館、向上など全国レベルの実力強豪校もことごとく涙をのみ続けることとなる。不公平というより実に不憫である。大会関係者、高野連には是非一考してもらいたい。

決勝の熱気に包まれながら、両校の輝かしい歴史に思いを馳せる

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