2023年、プロ野球の引退・戦力外選手の平均年齢は27.1歳だった。在籍期間の平均は6.8年に過ぎない。

 そんな厳しい世界に30歳で挑もうとしている選手がいる。今季、ウエスタン・リーグに新規参入した『くふうハヤテベンチャーズ静岡』の平間 凛太郎投手(山梨学院)である。

平間は言う。

 「30歳になりますけど、やっぱり挑戦したいです。一軍の勝ちパターンで投げられるような選手だったら30歳でも欲しがるチームは絶対あると思います。

 年齢的にもかなり厳しいのはわかっています。半分自分を実験台にしている部分があるんですよ。自分がどこまで挑戦できるかっていうのを見極める1年にしたいと思ってハヤテに入団を決めました」

 もしドラフトで指名があれば、1982年に電電関東から中日にドラフト3位指名を受けた市村 正則投手(石下)の30歳4カ月と9日を15日更新する「史上最高齢ドラフト指名選手」となる。

武器は魔球「ナイアガラカーブ」

 くふうハヤテはNPBでは65年ぶりとなる新規加盟チームとして今春からウエスタンリーグに参加している。新規参入チームの一つの特徴としてあげられるのは、NPBでプレー経験のない選手に限り今秋のドラフト対象選手となることだ。2軍とはいえ、シーズンを通してNPBの選手と公式戦でアピールできる環境に、倉本 寿彦内野手(横浜)をはじめとした元NPB戦士だけでなく、独立リーガーや高卒、大卒、社会人など様々な経歴を持つ選手が集まった。

 中でも、平間は異色の経歴を持つ。山梨学院から専修大を経て、社会人の日本製鉄東海REXに所属。その後は四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスでプレーし、最優秀防御率、最多勝など先発、抑えとして好成績を残すも指名漏れの悔しさを味わった。続いてメキシコリーグへ挑戦し、再び高知FDに復帰を果たし、ハヤテ入団に至ったのだ。

「ハヤテの対戦相手全員が、ドラフト指名されたNPB選手。高知FD時代もソフトバンクの3軍と試合をしていましたけど、よりレベルの高いNPB選手と対戦できるのは大きいです。阪神の佐藤 輝明外野手(仁川学院)、中日の岡林 勇希選手(菰野)とも対戦しました」

 ハヤテで平間は主に救援で登板。夏前まで防御率1点台を維持していた。鋭く縦に割れる“ナイアガラカーブ”が武器だ。

「多少ランナーは出しますが、点を取られないってことを大事にしています。ランナーを出してもいいと割り切って、その代わり絶対点を取れない。そのくらいの気持ちを持って勝負しています」

「僕は苦労人ではない。ラッキーな人間です」

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