<文部科学大臣杯第76回全日本大学準硬式野球選手権大会:九州産業大2-1明治大>◇26日◇準々決勝◇さがみどりの森県営野球場

九州地区の強豪として、8年連続で文部科学大臣杯第76回全日本大学準硬式野球選手権大会に出場している九州産業大。準々決勝では関東の強豪・明治大と激突し、2対1で勝利して4強入りを果たした。

6回に先取点を与えてしまったが、7回に相手エラーに9番・上津原崇瑠内野手(2年=筑陽学園出身)が適時打を放って2対1と勝ち越しに成功。このリードを、エース・椋木翔太投手(4年=星琳出身)が死守。9回わずか81球の完投勝利でベスト4進出に導いた。

勝利の瞬間、マウンドにいた椋木は大きくガッツポーズをし、笑顔で整列に向かった。「バックの守備に助けられましたが、とにかくテンポよく投げられました」と好投した椋木自身は振り返る。

指揮官である奥村浩正監督も「超省エネ投球でしたよね」と椋木の好投をほめると、「バッテリー中心の守備で勝てた」と、椋木と森 将太郎捕手(4年=星琳出身)のバッテリーをはじめ、耐え抜いた選手たちにも称賛の声を送った。

九州選抜に選出されるなど、実力は世代を代表する選手である椋木。最大の武器はコースを広く使える制球力と2つの高速変化球だ。

「準硬式だと、縫い目が見えにくいので、九州産業大に進学してからツーシームとカットボールの2つを増やしました。先輩や友人に教わった握りなんかを使ってみましたが、個人的に指先の感覚がゴムの方が合っていたので、覚えられました」

これには女房役・森は「気づいたら当たらない球種なんです」と、椋木の武器を分析。よく表現されるような「消える」ようなキレや曲がり幅があるわけではないというが、バットには当たらない。まさに魔球に近い球種だが、何よりも「変化する方向が真逆なので、打者にとっては的が絞りにくいと思います」と話す。

そして制球力、これは星琳時代から「スピードがなかったので、そこで頑張るしかなかった」ということで、磨き上げてきた。基本はアバウトに、勝負所はピンポイントに狙って投げる。これで、コースで勝負して、「振らせる」投球を実現させているという。

この武器を存分に発揮してベスト4に導いた椋木。優勝まではあと2勝。女房役・森の誘いで準硬式の道に進み、バッテリーを組んで7年目にして、日本一のタイトルが迫ってきた。椋木は、「(日本一へ)頑張りたいと思います」と話せば、森は「バッテリーを組んで7年目ですが、日本一は経験がないので、高校の恩師や両親に見せられるようにしたい」と意気込みを語った。

7年かけて成熟した椋木-森の最強バッテリーで、九州産業大が3度目の全国制覇を狙う。