10月24日のドラフト会議へ向けて、大学生にとってはラストアピールとなる秋のリーグ戦が各地で始まっている。右投手ではフル代表にも選ばれた愛知工業大の中村 優斗投手(諫早農)がドラ1確実とも呼ばれているが、彼に続くのが最速157キロ右腕・篠木健太郎投手(木更津総合)だ。

 篠木は木更津総合時代に千葉独自大会で優勝。当時から注目される速球投手であったが、法政大進学を決断。大学3年春には最優秀防御率を受賞し、リーグ通算11勝、防御率1点台が2回、大学代表にも2度選出され、実績は同世代の右腕の中では群を抜いている。8月7日の阪神二軍相手に3回5奪三振無失点、8月31日の北海道日本ハムの二軍戦でも2回パーフェクト。プロ相手にも好投を見せ、スカウトの間で評価はさらにあがっている。

 大学下級生時は常時150キロ超えのストレートをひたすら押すスタイルだったが、今の篠木は常時140キロ後半の速球に加え、スライダー、フォーク、カットボール、カーブと多彩な変化球を投げ分け、総合力の高い投手にモデルチェンジしている。

 篠木は「リーグ優勝するためにピッチングを追求してきました」と勝つことに貪欲な選手だ。「勝てる投球」を目指すドラフト上位確実と言われる男の取り組みを聞いた。

ストレートの数値にはこだわりはない

――現在の調子はいかがですか。

篠木 調子は良くなってきて、目指してきた投球スタイルがだんだん出来ています。大学代表では、中継ぎだったんですけど、いつもとは違うポジションでしたが、良い刺激になりました。

――大学代表では愛知工業大の中村投手とチームメイトとなりましたね。

篠木 自分を含め大学4年生の投手は4人しかいませんでしたが、その分、仲が良くなりました。中村投手とは遠征中、同部屋でしたが、彼の意識の高さは参考になりました。彼はストレッチ多めにやっていたので、そのやり方を教わったりしていました。

――大学4年生になって、秋へ向けてどんな投球スタイルを目指して取り組んできましたか?

篠木 春はコントロール重視したかのように見られていましたが、トラックマンの測定では154キロは出ていて、ストレートの球速自体は納得しています。一番欲しいのは勝利なので、チームの勝利に必要なピースになれるよう努力しています。

――今はストレートも数値化されている時代ですが、篠木投手はそういったものにこだわりはありますか?

篠木 数字的なこだわりはないですが、イメージとして打者が差し込まれるような、強く感じるようなストレートを投げたいと思っています。自分はずっと打者が手が出ないストレートを投げたいと思っていて、手元で失速しない「ベース板で強い」と感じるストレートは、打者からすれば、バットが出にくい形になり、ファウルでもカウントが取れるようになる。そうなると、投球が楽になるので、強さを求めています。

――普段の投球練習で理想的と思う瞬間を教えてください。

篠木 ブルペンの投球、試合の投球では力感がどうしても変わってしまうのですが、ストレートは自分の感覚で良いと思う感覚で投げられていれば大丈夫です。変化球はストレート以上にチェックをしていて、ストレートのラインに変化球も同じように乗っているか。自分が投げたい感覚で投げられているのかを大事にしています。

――このチェックポイントはいつから意識しているんですか。

篠木 大学にきて、ストレートだけでは抑えられない面も多いですし、変化球でコントロールしきれず、投球面で苦しんだので、4年間を通じてでき上がったものです。

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