<秋季東京都大会:正則4―3法政>12日◇1回戦◇都営駒沢球場

 秋季東京都大会は、この日で1回戦が終わり、2回戦へ進出する32校が決まる。駒沢球場では、代表決定戦で多摩大目黒にサヨナラ勝ちで上がってきた法政と一次ブロック予選では広尾学園、神代にいずれもコールド勝ちしてあがってきた正則の戦いとなった。

 どちらも、チームの勢いはあると言っていいであろう。ただ、正則は、1週間前が学園祭で、さらには練習しようと思っていた代休の日が雨になってしまったということである。都会のど真ん中にある学校で、グラウンドがほとんどないに等しい正則でもある。そんな状況なので、岸本淳監督は「ほとんどバッティング練習をしていないままでの試合になりましたから、あまり打てないだろうとは思った」という。

 そんな正則だったが、初回に、いきなり池田人星選手が二塁打して、バントで進むと、暴投で生還。労せずして先制点が入った。

 追いかける法政は、4回に樋口毅捕手(1年)の安打から二死二塁を作って、7番白石和馬選手(1年)の右前打で同点とする。さらに、5回には四球の走者をバントで進めて、二死三塁から失策でリードを奪った。

 6回から正則のマウンドは背番号4の中村湊投手(2年)から、3番ショートで先発出場していた背番号1の山田悠剛投手(2年)となった。法政は7回にやや制球を乱した山田投手を攻めた。四死球と捕逸、バントに暴投で追加点を奪う。試合の流れからしても、これで法政が逃げ切っていく形になるのかなとも思えた。

 ところがその裏、正則は打順も3巡目してきたところで、安打を集中させて逆転した。この回先頭の2番中村選手が中前打で出塁。ここで、法政の佐相健斗監督は、ここまで踏ん張っていた前藤渡投手(1年)から、9番ショートで先発出場していた背番号1の福田悠成投手(1年)をマウンドに送った。

 ところが、スイング感を取り戻してきた正則打線は、ここから連打して、さらに、相手失策もあって1点差としてさらに無死満塁。この場面で6番松田大地捕手(2年)が右線にポトリと落とす二塁打を放って2者が生還して逆転となった。やや泳ぎ気味ながらも、上手に持っていった一打だった。岸本監督は、「よく打ってくれました。真面目で一生懸命に練習する子ですが、そういう選手が公式戦の大事なところで打ってくれました」と、喜んでいた。

 このリードを8回、9回山田投手がしっかりと守って、正則が逃げ切った。

 岸本監督は、「似たようなチームだと思っていたので接戦になると思ったけれども、二人の投手がよく投げてくれた」と、内野手を兼務しながら継投で踏ん張った中村投手と山田投手の粘りの投球を評価していた。