大学時代で披露した緻密な投球理論

 法政大でもエースに成長し、4年生では春に1勝、防御率1.54の好成績でリーグ優勝に貢献。秋では1勝3敗でしたが、防御率1.95の好成績を残し、通算93.2回を投げて、102奪三振と三振が取れる実戦派左腕として高評価を受け、ロッテから1位指名を受け、高校から目標としていたプロ入りを叶えることができました。

 当時はコロナ禍でグラウンドでインタビューできず、ドラフト後にリモートでインタビューをすることになりました。そこでは理論派な鈴木投手の考えを聞くことができました。スライダー、シュート、チェンジアップの握り、投げるポイントを明かしてもらい、コントロールも抜群だった鈴木投手は自身の投球練習のやり方も丁寧に教えてくれました。

「ブルペンから打者は絶対に立たせます。投げているとき、ホームベースの上に9マスがあることをイメージし、そこに目がけて投げることを常にやっていけば、腕の角度、腹圧のかけかたが変わってくるので、コントロールしています。

 そういった微調整ができないときが調子の悪いバロメーターだと思ってやっています。とはいえ、調子が良いときはほとんどありません。むしろ調子が悪いときが多いです。だから打者を立たせるんです。変化球を交えたり、コントロール重視で投げたりと、悪くなった時の対処法をブルペンで試しています」(鈴木)

大学時代の鈴木昭汰

 さらに制球力を高める練習としてネットスローもおすすめしてくれました。

「行き先がないので、すぐに近くで投げ込めるし、ボールを意識せず、自分のフォームだけを意識できるので、ボールを投げている感覚があります。シャドーはボールを投げないので、感覚が変わりますので、自分はあまりやりません。ネットスローは近い距離で、ボールを気にせず、フォームだけを意識して投げる良い練習だと思います。投げるために意識しなくてもフォームを確立するためにネットスローで固めています」

 こうした実戦的な一面を知ることが出来たので、即戦力として活躍を期待していました。しかし1年目は先発中心で23試合に登板しますが、防御率4.08、2年目は6試合で防御率7.30と期待を裏切る内容となりました。

 プロ4年目にして度胸満点の投球が復活

 この時の鈴木投手は速球のキレもなく、高めに浮いたボールを簡単に打ち返されることも多く、実戦的な投手とは程遠い単調な投球をしていました。ただ3年目からリリーフに転向して13試合で防御率2.76の好投、そして今年は51試合登板と大ブレイクを果たしました。

 その投球を見ると、140キロ台後半のストレートは威力があり、強気にインコースに勝負ができていて、スライダー、ツーシーム、チェンジアップと多彩な変化球も低めに集まってストライク先行できるようになりました。パドレスの松井裕樹投手(桐光学園)との自主トレが大きかったと聞きますが、もともと鈴木投手は高校時代から度胸満点で、さらに実戦的な投球をするために、いろいろ工夫して練習ができる投手でした。この4年間で鈴木投手なりの答えを見つけたのでしょう。

 こうした活躍が認められ、プレミア12代表入り。U-15代表でチームメイトだった楽天の藤平投手、日本ハムの五十幡 亮汰外野手(佐野日大)とともにチーム入りしているのも心強いかなと思います。

 ポストシーズン、そしてプレミア12では度胸満点の投球を見せてくれるのは間違いないでしょう。

 これからもセットアッパーとして長く活躍することを願っています。