昨年のドラフトで「11年連続&6人同時指名」の偉業を達成した四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックス。今年も多くの選手にNPB球団から調査書が届いているという。
リーグ戦前期、後期を完全制覇、ソフトバンク3軍との定期交流戦を対象にしたソフトバンク杯も制覇し、3冠を達成している無双状態といっていい徳島。チームの勝利と個々のレベルアップが両立されている。
そして、「闘う感情をもって上がっていけるかが、成長の要素になる」と要求する岡本 哲司監督の言葉に応える新たなドラフト候補が現れた。高卒1年目の右腕・髙橋 快秀投手(多度津)である。15日、坊っちゃんスタジアムで開催された愛媛マンダリンパイレーツとの一戦では、そんな彼のよさが存分に発揮された。
この試合、岡本監督は「相手の一番強いところにぶつける」とあえて髙橋を3回裏、リーグリーディングヒッターを独走する愛媛の4番・浅井 玲於外野手(東海大甲府-星城大=2年目)らが並ぶクリーンナップにリリーフ起用。先頭打者に安打を許したものの、続く浅井には自己最速にあと1キロと迫る148キロを連発した上で、3球目で「徳島に入ってから覚え、最近しっくりきはじめた」というフォークで二ゴロ併殺打に仕留めることに成功した。
さらに5番打者には、高校時代からの持ち味だったスイーパーだけでなくカット系のバリエーションも加えたスライダーも交え追い込むと、最後は「ストレートでも押す場面を見せてほしい」と話した指揮官の付託通りのインローストレートで見逃し三振を奪取した。
出場する独立リーグチャンピオンシップに備え、最速159キロ・工藤 泰成投手(明桜-東京国際大=1年目)、最速155キロ・川口 冬弥投手(東海大菅生-城西国際大-ハナマウイ=1年目)がベンチ登録を外れたにもかかわらずNPB3球団のスカウトが詰め掛けた中、自分の成長過程を十分に披露した。
髙橋は「このリーグに来てNPBの打者とも対戦できていい経験ができています。まだ150キロに届いていないので、ドラフトまではそこまでに到達したいし、1年で指名されたい」とかたった。
これには岡本監督も「中込(陽翔投手・山梨学院大附-山梨学院大=1年目)とかも含めて投手たちは厳しい場面でも勝負できるようになってきている。試合には負けたけど、ドラフトを見据える上ではよかったと思う」と投手陣の台頭に目を細めた。
徳島はこの日、坊っちゃんスタジアムのバックスクリーンに飛び込む驚愕の一発を放った寺岡 丈翔外野手(東福岡-福岡大=2年目)も含め、両手に届かんとする複数選手たちがNPB球団からの調査書を手にしている。勝利と育成の二兎を追う男たちは、髙橋 快秀という新星も起爆剤として、あと1か月余りに迫った運命の日まで全身全霊で走り抜ける。