◇秋季東京都高校野球大会２回戦◇明大八王子６－３明星（延長11回）◇スリーボンドスタジアム八王子◇13日
国士舘の監督としてセンバツで4強2回などの実績を残している永田 昌弘が今年、明星の監督に就任した。しかし春季大会は1回戦でコールド負け。夏は聖パウロ学園に善戦したものの初戦で敗退した。秋は1次予選を突破し、夏勝てなかった聖パウロ学園を破り、2回戦に進出した。「選手に勝ちたいという気持ちが出てきました」と永田監督も手ごたえを感じる。明大八王子との一戦も、そんな明星の成長を感じさせる試合になった。
試合は初回に両チーム1点ずつを挙げたが、3回表に明大八王子が一死満塁から先発投手でもある3番・上原 和玖（2年）の左前適時安打と4番・松井 悠真外野手（1年）の押し出しで明大八王子が2点リードして試合を優位に進めた。
けれども粘る明星は5回裏に1点、6回裏にも1点を入れ同点に追いつく。7回裏にも安打2本でチャンスを作るが、明大八王子のサブマリン投手、上原の素早い牽制で2人とも刺されてアウトになる。
しかし永田監督に鍛えられた明星の守備もしっかりしている。特に捕手の坂野 凌介（2年）は7回表に二盗を阻止したのに続き、8回表には2度も二盗を阻止し、明大八王子の得点を許さない。バッテリーを中心とした守りの固さは、やはり永田野球である。明大八王子の椙原 貴文監督は、敬意をこめて「（永田監督とは）やりたくないですね」と語る。
試合は３－３のまま、無死一、二塁から始まる延長戦のタイブレークに突入した。10回表明大八王子はこの回先頭の6番・村田 晃毅捕手（2年）が送りバントができないまま三振に倒れ、続く7番・村松 凛太朗内野手（1年）の中飛で、飛び出していた二塁走者が刺され、併殺。明大八王子としては、最悪の展開になった。
その裏明星は先発投手として力投してきた5番の寺澤 拓実（2年）がしっかり送ったものの、後続が打ち取られ、得点を挙げることができない。
7回表に打者3人に対してマウンドを佐藤 友俐（2年）に譲り、一塁に入ったことがあるものの、実質的に1人で投げていた明星のエース、左腕の寺澤は、10回が終わった時点で球数が150を超えており、限界に達していた。
11回表明大八王子は、8番・入江 峻輔内野手（2年）がしっかりバントで送り一死二、三塁とし、代打に志村 駿麿内野手（2年）を代打で送る。志村はもともと二塁手などで試合に出ていたが、1次予選を前に足を痛め控えに回っていた。志村にとって代打は初めてという。それでも「ここまで数多くのチャンスがありながらものにできなかったので、自分が決めるという思いでした」と志村は語る。そしてファーストストライクを打とうという、考え通りに、1ボールの後の、スライダーを叩くと打球は左中間を抜け、2人の走者が生還。志村も三塁まで進む三塁打になった。さらに2番・佐野 孝太外野手（2年）の左前安打で志村も還り、明大八王子はこの回3点を挙げた。
その裏、明大八王子はエースの上原が無失点に抑え、延長11回タイブレークの激闘を制した。完投した上原の球数は154。なかなか勝ち切れず苦しいマウンドになったが、気持ちを切らさず丁寧に投げ切った。この好投に椙原監督も、「今日はほめたい。よく投げました」と語った。そして「負けゲームを拾わせてもらいました。こういう勝利は非常に大きい」と語った。明大八王子は、3回戦は堀越と対戦する。明大八王子としては、この勝利の勢いを大切にしたいところだ。
明星は勝利こそ逃したものの、永田監督も成長の手ごたえを感じる戦いだった。ただ「ここ一番で開き直れない」と永田監督は言う。それでも明星は、名監督の下で、急速に力を付けていることは間違いない。
