◇秋季東京都大会2回戦◇関東第一 5―1 国士舘◇JPアセットスタジアム江戸川球場◇14日

 この夏は甲子園で決勝進出を果たし、京都国際に敗れはしたものの全国準優勝という実績を残した関東第一。夏の甲子園に長期滞在となったことで、新チームのスタートが遅れたのは否めないであろう。さらには、国民スポーツ大会への出場ということもあった。それでも、やはり実力校。新チームもしっかりとした戦いぶりを示した。

 大会から甲子園出場校は一次ブロック予選なしで、いきなり本大会ということになったものの、その初戦は府中西に7対1で勝利しての2回戦進出となった。そして、この日も難敵国士舘に3回に3点を奪い、4回にも追加点。さらに7回にも1点を加え、国士舘の反撃を9回の1点のみに抑えた。

 それでも、関東第一の米澤貴光監督は、「このチームは、先輩たちが作った実績を背負ってスタートしていくことになりました。新チームスタート時には、試合での勝った負けたということも大事だけれども、そのことよりも、自分たちの野球をやり通していこうということを言いました。これからまた、新しい伝統を作っていこうという意識です。原点としては、楽しんで欲しいというところはあります」と、準優勝明けの新チームへの思いを語ってくれた。

 その関東第一に挑む形になったのが国士舘である。1回戦では立正大立正に苦しみながらも終盤に一挙に大量点を奪ってコールド勝ちをしている。その勢いに乗っていきたいところでもある。

 屈指の好カードといってもいい試合に、秋の陽光にも包まれたスタンドは、早くから多くの人が詰めかけて試合開始前には満員になっていた。関東第一は学校も江戸川区にあり、元々この球場は大会会場校として関東第一が担当している。だから、いわばホームグラウンドといってもいいくらいであろうか。

 国士舘はブラスバンドも入って、国士舘独特の「東京ラプソディーマーチ」なども奏でられて、スタンドは試合開始前から大いに盛り上がっていた。

 そんな盛り上がりと緊張感の漂う中、序盤から、関東第一がやや押し気味だった。そして3回、関東第一は3番坂本 慎太郎投手(2年)以下、越後 駿祐選手(2年)、石田 暖瀬選手(2年)とクリーンアップの3連打で先制し、四球で満塁後、犠飛と代打藤江 馳門選手(2年)の右前打でこの回3点を奪った。4回には2番田澤 心選手(1年)が左翼へソロホーマーを放った。

 さらには7回にも失策絡みで1点を追加してリードを盤石なものとした。

 先発左腕の坂本投手は8回を3安打無失点に抑える好投だった。「前回の登板が不甲斐なかったので、今日は自分なりにいい投球ができたと思う」と気持ちを述べていた。そして、初回1生成り二塁打されたが、その後のバントを三塁で刺したプレーに関しては、「昨日練習した成果がしっかり出せた」と喜んだ。3回にもバントを二塁で刺しており、マウンド周りの動きの良さも示していたと言っていいであろう。

 9回は松澤 琉真投手(2年)が登板したが、1点を失った。このあたりに関しては、米澤監督は、「しっかり最後を投げ切れないところが、まだチームとしては、課題ですね。松澤も、簡単には勝たせてくれないということを、しっかりと学んだと思います」と、語っていた。

 国士舘は、トータルで5安打。初回、いきなり先頭の下立 蒼大選手(2年)が二塁打で、いい立ち上がりを見せたのだけれども、そこで攻めきれなかった。この回を0で封じられてからは、試合の流れとしては防戦に終始したという印象でもあった。