<秋季東京都高校野球大会:日大三 13-0 錦城(6回コールド)>14日◇2回戦◇スリーボンドスタジアム八王子
最終的なスコアは13―0の6回コールドで日大三が圧勝した形になっているが、5回が終わった段階で日大三が1-0で辛うじてリードしているだけで、勝負の行方は分からなかった。
錦城は1回戦で創価を3-0で破っている。エースの宮地 晴大(2年)は、左腕から、キャッチボールをしているような感じの力感のないフォームから、緩急をつけ、キレのいいボールを投げる。創価と同様に日大三もなかなか得点できない。
日大三は、「調子が良かったので、どこかで起用しようと思っていました」と三木 有造監督が言う、背番号11の右腕・山口 凌我(2年)が先発した。しかし2回裏錦城の攻撃で、安打2本と犠打で一死二、三塁となると、近藤 優樹(2年)をマウンドに送った。「先に点を取られては、いけない展開だったので」と三木監督。錦城の宮地が好投しているだけに、早めの投手交代になった。1回戦に続いて救援のマウンドに立った近藤の球威に対応できず、錦城の7番・鈴木 佑海内野手(1年)のスリーバントスクイズはファウルになり、三振。近藤は後続も抑えて無失点で切り抜けた。2回急遽の登板であったが、近藤は、「肩は10球投げれば大丈夫です。ああいう場面で投げることが多いので、自信を持っています」と、語る。
3回表日大三の攻撃は、その近藤から。近藤は中前安打を放ち、犠打と内野ゴロで三塁に進む。ここで好投していた錦城の宮地がワイルドピッチをして、近藤は生還。日大三が1点を先制する。この時、本塁にカバーに入った宮地は、足を痛める。それでも宮地は4回、5回は日大三の攻撃を無失点に抑え、味方の反撃を待つ。けれども、錦城は近藤に完全に抑えられ、安打が1本も出ない。
6回に入ると宮地にも、疲れがみえはじめる。日大三の強力打線が相手だけに神経を使う。それに球威があるわけではないので、粘られ球数も増えていた。加えて足の痛みもある。3つの四死球で満塁となり、前の打席で安打を打たれている近藤が入る。それでも二死。この打者を抑えればという場面であったが、近藤はしっかり中前安打を放ち、2人が生還した。
ここで宮地も緊張の糸が切れた感じになった。日大三は1番・松永 海斗外野手(2年)の内野安打に、2番・松岡 翼(2年)内野手、3番・本間 律輝外野手(2年)の連続二塁打でさらに4点を追加したところで、錦城は宮地を降板させた。
宮地の後を受けた投手は、ストライクがなかなか入らず四球で塁を埋めては安打を打たれる。6回に2回目の打席に入った近藤も適時打を放つなどして、日大三はこの回打者18人で12点を入れて、13―0の6回コールドが成立した。
試合後日大三の三木監督は、「もっと打つべき人が打たないと」と語った。しかし投げてはロングリリーフで4回2/3を被安打0の無失点、打っては試合を決める3安打を放った近藤に対しては、「今日は近藤サマ、サマでしたね」と称えた。
投手のみならず、打者としても活躍した近藤は、中学生のころは登板しない時は外野を守り、4番を打っていた。もっとも日大三には夏の大会で活躍した本間をはじめ、力のある選手は多くいる。ほかの選手も目立つ活躍ができるかどうかが、今後の戦いのカギになる。
一方錦城は、春の16強に続き、この大会では創価を破るなど存在感はみせた。「三高のプレッシャーはありました。2番手のピッチャーは肩を痛めていて、2番手以降は厳しいです。それでもこの大会は、創価に勝てたことは収穫です」と郷野康輔監督は語る。選手層を厚くすることが課題となったが、創価に勝ち、日大三と途中までは互角の試合をしたことは、自信となった。自信と課題を胸に、来年に向けての練習に入る。