<秋季東京都大会:共栄学園 6―2 安田学園(延長10回タイブレーク)>14日◇2回戦◇JPアセットスタジアム江戸川球場

 葛飾区と墨田区に学校がある両校の「下町対決」。また、近年、共栄学園は夏に、安田学園は春に、それぞれ1度甲子園出場を果たしている同士でもある。「躍進中の私学中堅校対決」といってもいい。

 昨年夏に甲子園初出場を果たしている共栄学園。東京からの初出場は非常に難しいと言われてきた中での偉業だった。同校の女子バレーボール部は、全国的な強豪校として知られており、日本代表にも何人か選手を送り出している。その女子バレー部に、野球部も肩を並べようとしている。

 この夏は4回戦で東京に敗れたものの、確実にチームとしては、ステップアップしていると言っていいであろう。そして迎えたこの秋は、一次予選の代表決定戦で19対1で小川を下した。そして、本大会では岩倉に1点差で競り勝っての2回戦進出となった。

 2013年春のセンバツ大会で甲子園初出場を果たしている安田学園。読売ジャイアンツの阿部慎之助監督の出身校としても知られている。この秋は、阿部巨人にもあやかって東京制覇をはたしたいところだ。この秋は、一次ブロック予選初戦で二度の甲子園出場実績のある城東に4対1で勝利。代表決定戦では田無と接戦となったが、序盤のリードを守って2対0の完封勝利。そして、本大会では1回戦で桐朋に快勝しての2回戦進出である。

 どちらも、投手を中心とした守りのチームで、少ない点をしっかりと守り切っていくロースコアゲームを目指していく、似たようなタイプのチーム同士だ。安田学園は左の稲葉 颯来投手(2年)、共栄学園は首藤 健介投手(2年)は左右の違いはあるものの、リズムよく投げ込んできて制球もよい、似たようなタイプだ。

 そんな二人の投げ合いは投手戦の様相となった。2回に安田学園が二死一、二塁から、9番後藤 幹貴選手(2年)の強烈な内野安打で先制。これに対して共栄学園も5回に犠飛で同点とすると、6回、6番の内池 緑選手(2年)の左越二塁打で還してリード。そして、このリードを守って9回まで進んでいった。

 このまま共栄学園が逃げ切るかと思われたが、粘る安田学園は9回二死一、三塁の場面で、5番長澤 洋輔捕手(2年)が執念で右前打を放ち同点となった。こうして、そのまま延長タイブレークとなった。

 10回、8番からの共栄学園はしっかりとバントで送ると、四球で満塁となる。結果としては、この四球が大きなポイントとなった。1番川原 雅也選手(2年)の打球は併殺打かと思われたが、一塁への送球がそれて二人の走者が生還。さらに、皆元 太斗選手(1年)と木村 恒太選手(2年)の連打に盗塁も絡めて、なおも2点。この回4点が入った。

 このリードで、首藤投手は余裕を持ったのか、飛球で飛び出した走者を刺すなどの併殺で、そのまま逃げ切った。タイブレークで先行チームが勝つとしたら、こういう形が一番いいという典型のような形であった。