10月24日に控えたプロ野球ドラフト会議。近畿地区の社会人で指名有力と言われているのが竹田 祐投手(三菱重工West)、伊原 陵人投手(NTT西日本)、石伊 雄太捕手(日本生命)の3人だ。彼らは大学時代にプロ志望届を提出するも指名漏れを経験したという共通点がある。社会人野球で成長を遂げた3人の現在地を見ていきたい。

竹田 祐投手(三菱重工West)
右投げ右打ち 184センチ96キロ 2度の指名漏れを乗り越え、常時140キロ後半の速球を投げる先発型右腕へ成長

 竹田は履正社のエースとして活躍。3年春には甲子園準優勝の立役者となった。明治大でも1年春からリーグ戦デビューを飾り、2年春には4勝0敗の好成績で優勝に貢献。4年生ではエースとして活躍したが、ドラフト会議で指名されることはなかった。

 その後は三菱重工Westに進み、1年目から都市対抗の初戦で先発に抜擢される。同年の日本選手権では150キロをマーク。順調に成長を続けていたが、指名解禁となった昨年は不調に陥り、またしても指名漏れの憂き目に遭った。

「去年1年間は下半身を使えていないフォームだった」という反省から今年は下半身強化に取り組み、最速は153キロに更新。「野球人生で一番良い感じに投げられています」と実感できるまでに状態を上げた。

 9月の日本選手権近畿地区最終予選ではパナソニック相手に1失点完投勝利を挙げるなど、エースとしての働きを見せて、チームを本戦出場に導いた。

 先発しても平均して140キロ台後半のストレートを投げており、決め球のフォークで三振を奪うこともできる。順調にスケールアップしており、今年で25歳とはいえ、上位候補にリストアップしている球団も少なくないはずだ。先発、リリーフのどちらでも即戦力としての活躍が期待できるだろう。

伊原 陵人投手(NTT西日本)
投げ左打ち 170センチ75キロ  課題だった球速アップを実現し、社会人屈指の実戦派左腕へ

 智弁学園時代は3年春にエースとして甲子園出場。大阪商業大では通算で15勝1敗、防御率0.91と抜群の成績を残した。

 NTT西日本に入社後も2年連続で都市対抗の初戦で先発を任されるなど、早くからエース格として活躍。9月の日本選手権近畿地区最終予選でも先発、リリーフとフル回転して本戦出場に大きく貢献した。

 伊原の持ち味はスピンの効いたストレート。球速以上にボールの強さを感じさせる。大学時代は平均球速が140キロ前後だったが、社会人になってからは平均して140キロ台後半が出ており、最速は149キロまで伸びた。球速の向上に比例して、スカウトの評価が上がったような印象を受ける。

 大学時代の成績が示す通り、制球力や変化球の精度、投球術やマウンド度胸も申し分ない。そこにスピードが加わったことで、投手としての総合力が大きく上がった。

 投球スタイルに違いはあるが、岩崎 優(阪神)や中川 皓太(巨人)のようにリリーフ投手としてチームに欠かせない存在として活躍してくれそうな期待が持てる。

石伊 雄太捕手(日本生命)
179センチ83キロ 右投げ右打ち 課題だった打撃力も向上し、評価上昇

 アマチュア球界を代表する強肩捕手。近大高専から近畿大工学部に進み、3年秋には広島六大学リーグの最優秀選手賞に選ばれた。

 その年には侍ジャパン大学代表候補合宿にも召集され、大学生の中でも指折りの捕手として評判だった。しかし、大学時代はプロ志望届を提出するも指名漏れ。打撃が課題という評価を受けた。

 日本生命に入社後は即正捕手に定着。昨年の都市対抗近畿地区2次予選では打率.389の好成績で3年ぶりの本戦出場に貢献した。

 さらに日本選手権でも2回戦の東京ガス戦で2ラン本塁打を放ち、打力の向上をアピールした。守備面でも持ち味の強肩に加え、ハイレベルな社会人野球で正捕手として出場し続けることで守備面のスキルも高めている。

 指名解禁となる今年はドラフト指名が濃厚。上位で指名する球団が出てきてもおかしくない。日本生命の先輩で目標とする小林 誠司(巨人)のように守備面で頼りになる選手になっていきそうだ。