10月24日に迫ったプロ野球ドラフト会議。今年は捕手の候補が少ない年といわれている。その中で総合力も高く、勝てる捕手として評価が高いのが、箱山 遥人捕手(健大高崎)だろう。

 177センチ87キロの体から二塁送球平均1.9秒台の強肩、高校通算35本塁打の強打を誇る強肩強打の捕手だ。また、健大高崎のセンバツ初優勝の立役者でもある。同校の青柳 博文監督は「箱山がいたから歴史を切り開くことができた。歴代でも勝てる捕手」と語る。

 今年のドラフトでも上位候補に入る選手と評価される箱山はいかにして“勝てる捕手”へ成長したのか。そしてプロで活躍するためにどんな準備をしているのか。

目標は「プロ入りした先輩捕手を超えること」


スローイング練習を行う箱山遥人(健大高崎)

――捕手はいつから始めたのですか?

箱山 小学校1年生からです。当時はほかのポジションも守っていたので、ちゃんとキャッチャーに専念したのは中学校2年生です。

――憧れていたキャッチャーはいましたか?

箱山 ソフトバンクの甲斐拓也さんです。僕が小学生から中学生の頃はソフトバンクはずっと日本一を取っている時(17年〜20年)でした。中継を見ながら、「プロのキャッチャー」の技術というのはすごいなと思っていました。

――入学前、健大高崎にどんな印象がありましたか?

箱山 入れ替わりになった3学年上は小澤 周平(早大・高校通算52本塁打)さんたちの代で、全国レベルの強力打線として評判でした。その強打に惹かれました。強打を間近で見ていきたいと思ったのが進学した1番の大きな理由でした。

――健大高崎はコーチ陣が優秀で、各コーチがカラーを持っています。強打、機動破壊、投手育成……。そして甲子園上位に導いた柘植 世那(西武)選手、長坂 拳弥選手(阪神)ら計4人の捕手をプロへ輩出しており、捕手の育成力が高いチームでもありますが、その情報は中学生の時に知っていましたか?

箱山 実はあんまり知りませんでした。入部が決まってから初めてキャッチャー専門のコーチがいたり、キャッチャーの歴代のOBの人がいると聞いて、自分にとってすごい良い環境に入ることができたんだなと思いました。

――木村 亨コーチですね。最初はどんなことを教わったんですか?

箱山 まずは観察力と洞察力の部分です。キャッチャーには必要な能力ですが、できる人にしかできない特殊な能力だと思っていて、自分は観察力に自信を持っていたので、基礎技術の強化が課題でした。

 2学年上の清水(叶人・広島)さんがプロに行ったので、清水さんとは一緒にノックに入って、プレーを見て学びました。木村コーチからは、スローイング時の捕球からのスピード、下半身の使い方を教わりました。

――清水選手について高校3年のドラフト前に取材しましたが、まさに強肩強打の捕手という印象を受けました。そういう選手が間近にいるのは目標になりましたか。

箱山 1年生の時は「清水さんに追いつきたい」という思いで練習をしていました。新チームが始まってからは、「プロ野球選手になるためには、清水さんを超えないと、それ以上の評価は得られない」と思いやってきました。

4番・キャッチャー、そしてキャプテン 強豪の重責を担い続けた

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