今季5位のヤクルトはシーズンの最後まで中日と最下位争いを繰り広げており、ゲーム差は0で、実質最下位と同等の成績だった。毎年、ヤクルトの課題は投手力だ。今年のチーム防御率3.64はセ・リーグ最下位で、12球団では11位。昨年もリーグ最下位、連覇した21年でも3位、22年は4位だった。なぜこれほど苦しんでいるのかといえば、「投手1位」の選別がうまくいっていないからだ。

欲しい投手は「即戦力」「タフ」「ケガをしない」

 23年ドラフト1位の西舘 昂汰投手(筑陽学園-専修大)はシーズン後半にトミー・ジョン手術が決定し、来年後半まで実戦復帰は難しい。21年ドラフト1位の山下 輝投手(木更津総合-法政大)にいたっては、23年から2年連続で一軍登板なしに終わっている。また19年1位の奥川 恭伸投手(星稜)もケガで22年、23年と全く稼働ができなかった。

 22年ドラフト1位の吉村 貢司郎投手(日大豊山-国学院大-東芝)はローテーション入りして、今季9勝を記録している。20年ドラフト1位の木澤 尚文投手(慶応-慶応義塾大)は中継ぎとして3年連続50試合以上の登板を果たしている。

 つまり戦力化できている投手とできていない投手が極端なのだ。

 ヤクルトは現場の意向をしっかりと汲んでドラフトに臨む球団なので、1位は投手だろう。ケガ人の多さ、選手層の薄さから考えると、耐久性が高く調子の波が少ない社会人投手を選びたい。

 となると、三菱重工westの竹田 祐投手(履正社-明治大)が候補にあがってくる。社会人での3年間、年間通してイニングを稼ぎつつ高クオリティの投球ができている。22年は60回、23年は51.4回、24年は76.1回を投げており、防御率1.65と好成績を残している。投球間隔を見ると、先発としては中6日前後で投げており、大学生と違って中1日で100球以上投げるということはなく、連投がたたって故障というのは考えにくい。即戦力投手の中では竹田が最もケガのリスクが低く、リターンも大きいといえる。

 大学生から選ぶならば、159キロ右腕の中村 優斗投手(諫早農-愛知工業大)がいいだろう。常時150キロ台中盤の速球、鋭く曲がるスライダーなど1球1球の精度が高く、パワーで押し切る投球が期待できる。ただ気になるのは投球回と投球数の多さだ。この1年リーグ戦で67回934球を投げている。

 さらに大学候補合宿、国際大会でも投げているため、1000球超えは確実。150キロ台後半の速球を投げる中村は他の投手に比べて体の負担は大きいはずだ。これだけ投げても投球のクオリティが落ちていない耐久性を評価するべきか、それとも今後の故障のリスクを想定するべきか。

 ちなみに昨年1位の西舘は4年の春秋リーグ戦で125.1回を投げたタフネスさを評価されたが、結果として故障してしまった。

  大学生NO.1左腕の金丸 夢斗投手(神港橘-関西大)は毎年10勝を狙える投手だが、今年は腰の故障から復帰途上。プロ1年目からバリバリやるのは難しいだろう。

 1年目から活躍ができ、故障のリスクも少なく、イニングを稼げる――。このポイントにあてはまるのは竹田である。

2位は野手の有望株を!

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