<令和6年度秋季近畿地区高等学校野球大会:滋賀短大付4-1履正社>19日◇1回戦◇ほっともっとフィールド神戸

 近畿大会初出場の滋賀短大付(滋賀2位)が大阪王者の履正社を破った。

 勝利に大きく貢献したのがエース左腕の櫻本 拓夢(2年)。ストレートの球速は120キロ前後だが、「(球筋が)シュートしてくので、それで芯を外しています」と捕手の大窪 玲輝(2年)が言うように外角のストレートを上手く打たせて、フライアウトを量産した。

 1回裏に一死三塁から3番・辻 琉沙(2年)に犠飛を打たれて先制を許したが、「あれは想定内」(櫻本)と動じることなく、淡々とアウトを積み重ねていく。

 試合が動いたのは6回裏、滋賀短大付は安打と2四球で無死満塁と逆転のチャンスを作ると、履正社は先発の辻から主将の矢野 塁(2年)に継投。この場面で保木 淳監督は6番・北嶋 朔太郎(1年)に対して、「初球、真っすぐだけ狙って打て」と指示を送った。

「少々のボールでも打とうと思っていました」という北嶋は指示通りに初球から高めのストレートを振り抜くと、左中間を破る2点適時二塁打となり、逆転に成功。その後も相手の失策と8番・関東 正悟(1年)のスクイズで追加点を挙げ、リードを3点に広げた。

 6回裏を終えた時点で雨が強くなり、試合は44分間の中断。集中力を保つのは決して簡単ではなかったはずだが、「今年の春も経験しているので、投げにくいとは思わなかったです」と櫻本は中断が明けてからも変わることなく、丁寧な投球を続けた。

 出した四球は1つだけ。7安打1奪三振1失点で、強打の履正社相手に完投勝利を収めた。

履正社はうちが弱い時から練習試合の相手もして頂いていました。5年前に初めてやらせてもらった時はBチームに5回で15対0くらいで負けて、『これが全国のレベルやから、このチームに10回に1回でも良いから勝てるように持っていこう』という話をしました。本当に10回やったら1回も勝てないくらいの差はあると思うんですけど、子どもたち頑張ってくれたので、本当に良かったと思います」と話した保木監督。実績で上回る相手に対して櫻本を中心に手堅く守り、ワンチャンスをものにする攻撃で見事に勝機を掴んだ。

 春夏通じて初の甲子園に一歩近づいた滋賀短大付。次戦に向けて勢いの付く勝利となった。