10月24日に迫ったドラフト会議。今年のドラフト市場で不足しているのが捕手だ。プロではリードやコミュニケーションの面でも経験が如実に現れ、選手育成に時間がかかるとされている。例年以上にカギを握りそうな捕手指名に動くのはどの球団になるのか。

世代No.1の高校生捕手は上位で指名か?

 高校生で世代No.1と称されるのが、今春のセンバツ大会で群馬県勢初優勝に貢献した箱山 遥人捕手(健大高崎)だ。二塁送球平均1.9秒の強肩に、高校通算35本塁打のパンチ力で4番を任された。3年時は主将としてチームを牽引し、扇の要として9年ぶりの夏の甲子園出場へと導いている。貴重な強肩強打の捕手として注目される箱山だが、次世代の捕手が不足している巨人、楽天は上位で獲得に動くことが予想される。特に巨人は大城卓三捕手(東海大相模ー東海大―NTT西日本)がFA権を行使する可能性があり、将来の正捕手候補としてあがる23歳の山瀬 慎之助捕手(星稜)が支配下捕手で一番若いことからも、高校世代の捕手の獲得は必須。阪神は3年目の中川 勇斗捕手(京都国際)が楽しみな存在ではあるが、坂本 誠志郎捕手(履正社ー明治大)や梅野 隆太郎捕手(福岡工大城東―福岡大)からの世代交代となれば若手捕手を上位で割くことも想像できる。

 今年の高卒捕手で箱山に負けず劣らずの打撃力を誇るのが椎木 卿五捕手(横浜)だろう。高校通算16本のパワーもさることながら、柔らかいスイングから逆方向にも強い打球を飛ばすことができる。この夏の決勝戦でも、横浜スタジアムの右翼スタンドへ本塁打を打つなど、5打数4安打でサイクルヒットを達成して持ち味を発揮した。こちらも箱山の指名次第では前述した巨人や楽天は中位で狙いにいくこともあるのではないか。強打者として若手世代の手薄な球団からの評価も高まりそうだ。

 ほかにも1.8秒台の強肩に正確なスローイングで守備力が高く評価されている龍山 暖捕手(エナジックスポーツ)や、今春の大阪大会で大阪桐蔭履正社の2強撃破に貢献した志水 那優捕手(大阪学院大)らも注目。共に肩の強さには定評があり、若返りを図る球団の狙い目となるだろう。

17年以来となる大卒社会人捕手の指名なるか!独立リーグも多数揃う!

 即戦力補強に目を向けると、大学生では早稲田大の印出 太一捕手(中京大中京)をはじめとした大学日本代表らが志望届を提出しているが、今年は社会人捕手に注目選手が集まっている。社会人捕手は19年の西武・柘植 世那捕手(健大高崎―ホンダ鈴鹿)、大卒を経由するとなれば巨人・大城が指名された17年まで遡るが、今年は複数選手の指名があってもおかしくない。

 上位候補として挙がるのは、日本生命の石伊 雄太捕手(近大高専―近大工学部)とNTT東日本の野口 泰司捕手(栄徳-名城大)だ。石伊は自慢の強肩と精度の高い送球で大学時代から注目されていた。社会人の名門・日本生命に進むと1年目から正捕手を務め、打撃力も向上して指名が期待されている。実際に加藤 匠馬捕手(三重―青山学院大)、木下 拓哉捕手(高知―法政大―トヨタ自動車)ら、30代の捕手がレギュラーを張る中日や世代交代を図りたい阪神などが候補にリストアップしているという報道もあり、指名の現実味が増している。

 野口も名城大時代から強肩強打の捕手として名を馳せた。4年時には大学日本代表も経験し、当時から上位候補として注目されたが指名漏れ。社会人野球でも持ち前の打撃でアピールし強打の捕手としてさらなるレベルアップを図った。大学。社会人での実力も積み上げ、石伊と共に早くから名前の呼ばれる可能性の高い候補の一人として数えられるだろう。

 また昨年、徳島インディゴソックスの椎葉 剛投手(島原中央―ミキハウス)が阪神、富山GRNサンダーバーズの大谷 輝龍投手(小松大谷―JFE東日本―伏木海陸運送)がロッテからそれぞれ2位指名を受け、飛躍の年となった独立リーグも指名がありそうだ。

 BCリーグからは埼玉武蔵ヒートベアーズの町田 隼乙捕手(光明相模原)と茨城アストロプラネッツの大友 宗捕手(鳥羽ー帝京大ー日本通運)があがる。町田は51試合で打率.323、5本塁打、37打点を記録。高卒3年目の打てる捕手として打撃力をアピール。大友も51試合で12本塁打と、持ち前のパワーで存在感を発揮している。年齢が少しネックでなるが大学、社会人、独立と様々な環境で揉まれた25歳を評価するのか注目だ。

 ほかにも関西独立リーグでは持ち前の強肩にシーズン37盗塁の堺シュライクス・松本 龍之介捕手(東海大山形)、また四国アイランドリーグplusでは強肩を売りに愛媛マンダリンパイレーツの年間総合優勝に貢献した矢野 泰二郎捕手(済美)、61試合で71安打を記録し年間で打率.350を記録した高知ファイティングドッグスの嶋村 麟士朗捕手(高知商―福井工業大学(中退))らも好成績を残し、指名が期待される。独立リーグ出身で、現在はDeNAで正捕手を務める山本 祐大捕手(京都翔英―滋賀GOブラックス)のようなスター選手となれるのか。独立リーガーの指名にも注目したい。

【2024年 ドラフト候補捕手一覧】

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