今年のドラフト候補でメジャー挑戦を掲げている選手がいる。森井 翔太郎内野手(桐朋)だ。夏初戦の富士森戦ではNPB12球団はもちろん、MLB2球団も含めて14球団が集結した逸材だが、今年の9月にメジャー挑戦を表明。NPB12球団からの指名は断るという。

 そんな森井がもし、NPBもOKな立場だったら、どのくらいの順位の指名だったのだろうか?

 森井のポジションは遊撃手。183センチ89キロと恵まれた体格をしたスラッガーで、高校通算45本塁打を記録している。森井を初めてみた2年春の一次予選では、豪快な本塁打を飛ばしたが、体全体をうまく使いながらヘッドが走らせたスイングで打球を飛ばす姿はまさに逸材だった。フィジカルの強さあり、技術でもしっかり飛ばせるので、スカウトが高評価するのがうなずける。また、インタビューでも、夢に向かって前向きな発言する姿勢も魅力的だった。

 守備でも、ものすごくスピードがあるわけではないが、動きが滑らかで持ち替えも早い。投手としても最速153キロを誇るが、どちらかというとホットゾーンの三塁手にも向いている。強肩の三遊間を守れる内野手としてみていいだろう。

 ただ気になるのは公式戦で目立った実績がないことだ。最後の夏はノーヒットに終わり、やや擦った打球が多かった。高評価している球団は、練習試合や、練習などを見て、潜在能力の高さを評価していると考えている。実際に練習を見れば、攻守でキレのある動きを見せており、その才能に惚れてしまう。

 レベルの高い投手との対戦が少ないので、NPB入団後は二軍でもかなり苦しむことが予想される。同じ遊撃手の石塚 裕惺内野手(花咲徳栄)、齋藤 大翔内野手(金沢)と比べると実績面が劣るので、上位指名するには厳しい。

 NPB志望の場合、中位指名〜下位指名が一番妥当なラインだと思う。

 森井のスキルを各項目で評価すると、以下の通りになる。

長打力:A
巧打力:A
守備力:B
走力:B
直球の威力:A
変化球:C
投球フォーム:C
将来性:A

 とはいえ、日本のドラフトで本指名級の野手がMLBのマイナーからメジャー昇格を目指すのは前例がないことだ。来年以降、ライバルとの激しい競争が待っていると思うが、ぜひアメリカで夢を叶えてほしい。