「高校生投手ではトップの評価」
晴れてプロ注目選手となった菊地ハルン。高倉監督は「3年夏にピークを持っていく」指導を行った。そのかいあって3年夏には最速149キロを計測し、夏の千葉大会では、10回を投げて、11奪三振、4失点。スライダー、フォーク、カーブを器用に操る投手に成長していた。
夏は県大会4回戦で敗れ去った菊地だが、スカウトの調査は続いた。
実際夏以降も、菊地は大きな成長を続けた。専属トレーナーのもと体作りを行い、体重102キロから110キロへ増量、安定して145キロ前後の速球を投げるようになったのだ。
ドラフトが近づき、調査書は7球団から届いた。
「7球団の中でも広島さんと日本ハムさんからは特にいいお話をいただきました。
広島さんとの面談では担当スカウト・尾形(佳紀)さんから『今年の高校生投手ではトップクラス』という評価をもらいました。今だからこそ言えますが、『指名します』とも……。そのことは本人には伝えませんでした。広島と同じくらい熱心だったのは日本ハム。上司の方のクロスチェックもありました」(高倉監督)
そしてドラフト会議。菊地は広島から5位指名を勝ち取ったのだった。
菊地は他の長身投手にはない器用さも評価につながった。
「肘の使い方がいいので、多彩な変化球も投げられる。長身にしては器用な動きができるところですね」(高倉監督)
菊地に限らず、日本ハム1位の柴田、2位の藤田も夏の大会で評価を高めた投手の1人。高倉監督は夏の大会での活躍度、そして夏が終わってからも成長度が評価のポイントになるとスカウトの会話、面談を通して感じたようだ。