<第77回秋季関東地区高等学校野球大会:東農大二10-3帝京三> 26日◇ 1回戦◇ 等々力球場

 2025年度のドラフト候補に挙がる本格派右腕・山田 琉聖投手(東農大二)。184センチ77キロとサイズ的には申し分ない。今年の春季群馬県大会の前橋商戦では最速142キロをマーク。この試合で前橋商は日本ハム4位の清水 大暉投手が投げており、清水目当てで集結したスカウトの目に留まった投手であった。

 秋の県大会を勝ち抜き、迎えた関東大会ではいきなり厳しい場面が待っていた。先頭打者に四球を与え、「初めての関東大会で、相手の応援にのまれてしまったところがあります。リズムを悪くしてしまった」と語るように、130キロ後半の速球が綺麗に振り抜かれて、一死二塁から3連打を浴び、一気に3失点してしまったのだ。しかし、東農大二の選手たちは冷静だった。すぐに2点を返し、2対3と1点差。

「真っ直ぐが狙われているのが分かったので変化球の割合を多めにしました」と山田はその後、120キロ後半のスライダーを決め球に、帝京三打線を封じた。

 投球フォームは23年巨人ドラ1の西舘 勇陽投手(花巻東)を彷彿とさせる。投球モーションが速く、左足を突き上げながら踏み出す動きは非常に似ている。常時130キロ後半(最速143キロ)の速球は回転数が高そうなストレートで、高めに伸びたストレートで空振りを奪う場面があった。スライダーに加えて、チェンジアップ、カーブといった精度も悪くない。来年のドラフト候補として注目していいもだろう。

 ただ気になったのはリリースポイントが乱れ、細かなコントロールができないこと。この試合では7四球。本人は「力んでしまいました。自分はテークバックが大きすぎてしまうと、崩れやすいので、そこを気をつけています」と語るように微調整をしながら、試合を作った。9奪三振を記録し、2回以降は無失点としっかりと立て直した。青木一将監督は「彼は修正能力が高い投手」と信頼を寄せる。

 群馬は年々、投手のレベルが高くなっており、春の清水との投げ合いは刺激になったという。

「目標になりましたし、1年後、自分がどういうレベルになればいいのか分かってきました」

 同じ群馬の同学年には、来年のドラフト候補の筆頭格・石垣 元気投手(健大高崎)がいる。

「彼はすごすぎる投手。現時点では到底及ばないですが、自分は自分。彼とは成長スピード、成長する時期は違うので、焦って見失わないようにしたい」

 3年夏までの到達目標は最速150キロだ。今も月に数回訪れるトレーナーと意見を交わしながら体の使い方を極めている。