<第55回明治神宮野球大会第16回東北地区大学野球代表決定戦:仙台大5-0東日本国際大>26日◇1回戦◇ヨークいわきスタジアム

 26日、明治神宮野球大会出場をかけた東北地区大学野球代表決定戦の1回戦が行われ、2季ぶりの出場を目指す仙台大は今春の全日本大学野球選手権で4強入りした東日本国際大を5対0で破り、決勝に駒を進めた。

 仙台大は初回に4番・木村 泰賀外野手(3年=常磐大)の適時打などで幸先良く2点を先制する。その後も6回に6番・今北 孝晟内野手(1年=北海)の公式戦初本塁打が飛び出すなど、着実に加点した。投げては先発の渡邉 一生投手(3年=日本航空/BBCスカイホークス)が9回4安打9奪三振無失点で完封。投打が噛み合い、強敵相手に快勝を収めた。

 この日は正捕手の井尻 琉斗捕手(2年=北海)がリーグ最終戦の途中で骨折して離脱したため、前田 夢翔捕手(2年=鶴岡東)が「5番・捕手」でスタメンマスクをかぶった。大学ではここまで代打での出場が主で、リーグ戦で捕手として守備に就いたのは2試合のみ。新人戦以外の公式戦でのスタメンマスクは初だった。

 その前田は渡邉を好リード。また3度盗塁を阻止し、再三ピンチの芽を摘んだ。本人いわく、「肩は強い方ではない」。それでも、大学でボールの握り替えのスピードを速くしたことで盗塁を刺せるようになった。この日は相手野手陣の走塁に関するデータを頭にたたき込んでいたことも功を奏した。

 普段から投手陣と積極的にコミュニケーションを取ることを心がけており、出場機会こそ少ないながらも常に準備は万全。今秋のリーグ最終戦でも負傷した井尻に代わって急遽マスクをかぶり、落ち着いたリードでサヨナラ勝利を呼び込んだ。

一方、打撃でも勝利に貢献した。初回に左中間を破る適時三塁打を放つと、8回にもダメ押しの左前適時打をマーク。大一番で抜擢され攻守にわたって躍動した前田は、「僕が出て負けるのは嫌だったので、絶対に勝ちたかった。勝ててよかったです」と胸をなで下ろした。

 鶴岡東時代から打撃に定評があり、高校3年夏は4番に座って甲子園で左翼席へ運ぶ特大の本塁打を放った。大学では武器である長打力を磨きつつ、「(バットを)振りすぎてもよくない。狙い球を絞って間を抜く打撃をしよう」と確実性も求めてきた。今でも「自分はバッティングが売り」と胸を張る。

 27日の決勝は6人のドラフト指名選手を擁する富士大が相手。前田は「(富士大は)打撃がいいけど足が速いイメージもある。ピッチャーをしっかりリードして勝ちたい」と意気込む。不足を補い合えるのが仙台大の強み。全員野球で最強軍団に立ち向かう。