<第77回秋季関東地区高等学校野球大会:佐野日大6-5平塚学園> 27日◇ 1回戦◇ 等々力球場

 激戦を制し、関東大会準々決勝進出を決めた佐野日大の注目はエース・洲永 俊輔投手(2年)だ。

 180センチ78キロの体格から最速142キロの速球を投げ込み、栃木県大会でもエースとして活躍し、県大会優勝に貢献した。その実力は今年の栃木を代表する左腕として評価されている。

 関東大会初のマウンドは厳しいものとなった。初回、いきなり2点を奪われる苦しい立ち上がり。

「自分のミスで先制点をあげてしまいました」と悔やむ。平塚学園は7番後藤 大我外野手(2年)、9番石塚 蒼生投手(2年)以外の7人は右打者という構成だった。洲永はインコース主体の投球で攻めるが、なかなかストライクコールが上がらない。

「今日の球審の方はインコースの判定が厳しかったので、アウトコース主体に切り替えました」

 2回以降から外角へ手元で伸びるストレート、低めに落ちるスライダーで三振を奪う配球に切り替えた。無失点に抑えていたが、打線に迫力がある平塚学園は洲永のストレートを全く苦にしていなかった。アウトになっても外野奥深くへ打球が飛び、間一髪で打ち取る形だった。洲永は「自分は直球以外だとスライダーを低めに投げて空振りを誘う配球をするのですが、平塚学園さんは全く手を出さなかった。ストレートもまだ通用しないなと感じました」と振り返った。

 打線の援護もあり、被安打11本打たれながらも、12奪三振、149球の完投勝利を挙げたが、熱投の洲永は試合後、足がつっていた。気迫だけで乗り切った試合だった。今後の課題はストレートのコントロール、球威のレベルアップだ。

「狙い球が絞られていても、打たれない球威のあるストレートを投げるようにレベルアップしないといけないとおもっています。手が出ないところに投げるコントロールも必要です。またスライダー以外の変化球でも決め手になるものを習得したい」

 完投勝利でも反省が多かった。

 浦和シニア時代は最速146キロをマークし、スーパー中学生として騒がれた。その146キロは、通っていた野球塾で測ったもの。

「あの時はただ球速表示にこだわって投げていました。だから実戦的な要素はなかったです」と振り返る。鳴り物入りで入学したが、高校では通用しない現実を知った。そこから「目標を何キロにするとか、球速のこだわりは捨てました」と勝てる投手になるために配球、コントロール、ストレートのキレを突き詰めた。県大会ではほぼ敵なし。だが関東大会では今のレベルでは通用しないことを知った。準々決勝では健大高崎との対戦になるが、苦しい投球が予想されるだろう。そこから何ができるか。

 この大会を成長の糧にできるか。中1日で立て直し、初戦以上の投球を期待したい。