<秋季関東地区高校野球大会:千葉黎明3-2西武台>◇27日◇1回戦◇サーティーフォー保土ヶ谷球場

 千葉黎明西武台との接戦を制してベスト8進出。10年ぶりとなった秋季関東大会で、大きな1勝をあげた。

 勝利を呼び込んだのは2番手で登板した米良 康太投手(2年)の好救援だ。2対2の5回からマウンドにあがった左腕は、最速138キロの直球を右打者にも臆することなく投げ込み、テンポのいい投球で西武台打線の反撃の芽を摘んだ。同校は千葉大会から3、4人の投手で短いイニングを繋ぎ、最小失点で切り抜けるのが定石であったが、この日は好投が続く米良を変えることなく、5回無失点で1安打も許さない見事な投球を披露した。指揮を執る中野 大地監督は、「あまり球数やイニングにこだわらず、投手の状況と相手打者の相性を見て判断しました」と起用の意図を説明。「節目でいい投球をしてくれて、大舞台でも結果を残していたので迷いなく米良でいきました」と左腕への厚い信頼を語っていた。

 米良は2年生ながらこの春も多く登板を果たすなど、主戦としてチームを牽引してきた。しかし、「気持ちが前に出過ぎて体が前に突っ込んでしまい、制球を崩すことが多かった」と秋の千葉大会では奮わなかった。調子を取り戻すため、千葉大会後から1日300から400回のネットスローを行い、指がボールにかかる感覚の修正に時間を費やした。

 地道な努力は身を結び、センバツがかかる重要な大会で躍動した。中継ぎとして登板する機会も多いが、「緊迫した場面で自分が登板することで、チームに流れを呼ぶことができる」と強心臓ぶりは健在のまま、制球力とテンポの良さを発揮して西武台に行きかけた流れを渡さなかった。

 チームには先発した田代 敬祐投手(2年)に加え、経験豊富なサイド右腕・伊藤 星七投手(2年)や、長身左腕の飯高 聖也投手(1年)、130キロ中盤の直球を投げる岩下 竜典投手(1年)ら、県大会で経験を積んだ1年生も控えている。米良は、「投手が多く、1イニングごとに力を出し切ることが出来る」と、投手層の厚さも好投に繋がっていると話す。これには中野監督も、「中心になるべき選手が投げてくれています」と2年生投手の奮闘を称えていた。

 次戦は東海大相模を下して勢いに乗る山梨学院と対戦する。千葉黎明は21世紀枠の推薦校にも選出されたが、勝てばセンバツ出場が確実視される重要な一戦となる。大一番を前に中野監督は、「こんな機会は野球人生で誰しも与えられるものではないので、どこまで自分たちの野球を貫き通せるかが勝負になる」と、選手たちに期待を込めていた。