1年生ながら関東大会で一躍、その名を全国に轟かせつつある横浜・織田翔希投手。高校野球界でもトップクラスの最速148キロを計測するストレートがストロングポイント。同年代では頭1つ抜けた存在となった。
とはいえ、まだ1年生の秋。これから迎えるオフシーズンを通じて、一気に化けて春以降に大活躍する同級生は大勢いる。そんな可能性を秘め、織田とともに神奈川の高校野球を盛り上げそうな1年生投手が、立花学園にいた。
強打者揃いのライバルにも手ごたえがあったストレート
立花学園はこの秋、4回戦まで勝ち上がった。東海大相模の前に敗れたものの、競り合いを演じてみせた。エースである経験豊富な2年生左腕・芦川颯一投手など、主力選手が順調に成長すれば、春以降も神奈川を盛り上げてくれそうだ。
そんな主力選手のうちの1人、1年生右腕・根本奨大投手こそ、今後の成長な楽しみな投手である。
最速136キロというスピード。さらに精密機器・ラプソードによる計測では回転数2200を記録。回転効率も97%前後という数字が出ているという。実際に4回戦・東海大相模戦で登板した際、「ストレートは空振りを奪ったシーンもあった」と手ごたえがあった。
強打者揃いの打線にも通じた伸びる快速球が持ち味の根本。将来が楽しみな1年生だが、本人曰く、「スピードや回転数はここ最近、自然と伸びてきた」とのこと。フォームは改良していないが、太ももなどの下半身の強化に注力して、出力を高めた成果だと自己分析する。
元々、入学時点のストレートは130キロ程度だった。回転数も2000程度と、ずば抜けた能力ではなかった。むしろ明確な課題を抱えていた。
「スピードだけなら、入学当時は勝負出来るところはあったと思います。ただ全体的にあまりコントロールがまとまらない。コースの投げ分けに関しては当初まだ出来ておらず、課題でした。なかでも、インコースへのコントロールが出来ていなかったです」
アウトコースならば、ある程度の制球力はあった。だが、インコースへ投げ込むことに対して、課題を感じていた根本。解決するためにまず意識したことは、気持ちの部分だった。
「インコースはビビってしまったら、絶対に投げられないコースだと思うんです。だから強気でしっかり投げることはもちろんなんですけど、それが力みに変わってしまったら、コントロールに狂いが生じてきます。だからフォーム全体から力感を無くしてあげて、リリースの瞬間だけ力を投げることを意識しています」
そして技術的観点でもう1つ、気を付けたのが体の開き。これは大和ボーイズ時代からの癖だということだが、意識しているのは、それだけが理由ではない。