あの大投手の助言を胸にして
「大和ボーイズ時代も体の開きが課題だったので、『投げる時に意識したり、背中側に人を立たせて投げたりしたらいいよ』と言われたのは、今でも心に残っています。そのときは違和感がありましたけど、それだけで球速が1、2キロ伸びたので効果を実感出来ました。
だから現在も大事な練習メニューとして、同じ課題が出た時に取り組むようにしている。自分にとっては心強いアドバイスになっています」
根本がそこまで語る金言を授けたのは、東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手(駒大苫小牧出身)である。
元々2人の間に接点があったわけではなく、根本が中学3年の冬、スポーツメーカー・ミズノが主催した“マー君ラボ”に参加した際に、指導してもらえる機会があったという。そこで体の開きが課題だったことを打ち明けた際、解決策として先述したメッセージをもらったという。
それ以外にも肩・肘のケアなど、当時中学生だった根本は質問をぶつけた。そして教わったアドバイスを、今もなお継続して取り組んでいる。根本の成長の一助となった田中将大投手の指導。根本はそんな貴重な経験を、「今の自分の課題にリンクしているので、今でも大事にしている。自分を成長させてくれた出来事の1つだったと思います」と改めて振り返る。
だからこそ、現在も体の開きは意識し続けてきた。そのおかげもあってか、新チームから徐々に制球力が向上。すると、「先発投手に抜擢されたり、大事な場面を任せてもらえたりする機会が増えた」という。チームの戦力になり始めると、秋の大会では8月の予選から登板機会をもらった。
県大会でも3回戦・市立橘戦で登板するなど、エース・芦川とともに投手陣を牽引。課題だったストレートの制球力がきちんと出来たことに「夏からの成長の手ごたえがあった」と収穫があった。
ただ4回戦・東海大相模では、7回途中からマウンドへ。2対3の1死二、三塁からの登板と難しい状況で、4失点を許した。拮抗していた状況から、一転して試合の情勢が決まってしまったことに、「芦川さんが抑えてくれたのに、自分が打ち込まれてしまったことは責任を感じています」と、改めて悔しさを感じているようだった。
「大量失点になったことは悔しいです。もちろん、東海大相模の各打者のオーラが今までと少し違って素晴らしかったです。ただ何よりも、自分自身が会場の雰囲気にのまれてしまった。それで冷静にマウンドで投げられなかったことも、大量失点に繋がった原因だと思います」
だからこそ、春以降への決意は固い。
「芦川さんばかりに頼るんじゃなくて、自分も負けないくらいレベルアップしたい。ストレートの球速を伸ばすのが1つの課題だと思うので、140キロというのを目標にして、体重増加と下半身強化をポイントして練習したいです」
高校野球での初めての冬を通じて、根本がどんな成長曲線を描いていくのか。持ち味でもある伸びるストレートのような急成長を見せ、春以降にブレークすることを期待したい。