＜秋季東京都高校野球大会：早稲田実６－０淑徳＞◇3日◇準決勝◇スリーボンドスタジアム八王子
早稲田実のエース・中村 心大（２年）は、甲子園を経験して投手としての風格と貫禄がでてきた。早稲田実の和泉実監督は、「点は取れないけど、中村が要所要所を抑えてくれた」と語る。
決して完璧な投球だったわけではない。１回、２回は安打を打たれ、３回、４回は先頭打者を四球で出塁を許した。特に４回裏は二死二塁から淑徳の６番・関 駿内野手（２年）に中前安打を打たれ、やや無理な走塁ではあったものの、二塁走者が本塁を突くという場面もあった。ここは早稲田実の中堅手・白仁田 航志（１年）が落ち着いて送球し、本塁で刺した。
「前半は結構抜けていました」と中村は言う。そこで前半はカットボールを多く投げたが、後半はストレート中心の投球にして次第に本来の投球を取り戻す。
攻撃面では、１回表にこの試合から１番打者になった川上 真内野手（２年）が二塁打と敵失で三塁に進み、２番・松永 晃京外野手（２年）の遊ゴロで生還して先取点を挙げる。
その後は１－０の展開が続いたが、５回表二死二塁から３番打者でもある中村の中前安打で貴重な追加点を挙げる。「打つ方は、山中（晴翔）、國光（翔）ら次の打者につなぐことを意識していました」と中村は言うものの、エース自らの貴重な追加点であった。
淑徳の快進撃を支えてきたエースの八重尾 蓮（２年）は、彼らしく、走者を出しても傷口を広げない投球でうまくかわしてきたが、２点目の失点は早稲田実・中村の出来からみて、大きかった。
中村は、５回以降は安打を１本しか打たれず、三振を６個奪う内容で、完全に調子を取り戻した。
一方淑徳の八重尾は８回表に力尽き、途中交代した横手投げの照井 悠麒（２年）と合わせてこの回４点を失い、完全に勝負はついた。
結局、中村は甲子園の鶴岡東戦以来の完封勝利を飾った。この試合全体の投球数は114、被安打4、奪三振10という貫禄の投球であった。
淑徳の中倉 祐一監督は、「頑張ったと思います。打てないのは分かっていたので、どんどん仕掛けていきました」と語る。実際三盗、二盗としかけていったが、早稲田実の捕手・山中 晴翔（２年）に刺されるなど、早稲田実が一枚上であった。それでもチームとして初の準決勝進出は大きな前進であり、そこからまた新たな歴史が始まるに違いない。
早稲田実は７日に行われる決勝戦に進出した。決勝戦が平日の薄暮・ナイターで行われるは８年ぶり。早稲田実の決勝進出も８年ぶりで、８年前は現在日本ハムの清宮 幸太郎がいて、日大三との激戦の末に優勝を飾った。果たして今回はどうなるか？ 注目の一戦である。
