小倉イズムで開智未来の形を作っていく

実際、開智未来は現在2学年で22人となっている。2024年からは学校側も部活動強化に動き出し、部員が集めやすい環境になった。伊東監督も「これで1学年20人くらい集まれば、ベスト16や8の可能性は高まると思う」と周りからは声をかけられることもあるそうだが、決して急がない。それは日大三時代の学びもあるからだ。

「もちろん勝ちたい。甲子園にも行きたい。でも結局、選手1人1人の面倒を丁寧に見ることができなかったら、いずれチーム内でトラブルが起きると思うんです。そうなってしまったら意味がないと思っています。
いまだって、結果こそ出ていないですが、チーム・選手の状態も決して悪くないので、少しずつ前へ進んでいきながら、自分たちの形を固めていきたいと思います」

伊東監督の選手指導に対する熱意は、たしかに響いている。2年生・新妻慎太郎投手は、「監督が『このチームを変えたい』というのを熱く語ってくれたので入学を決めましたけど、野球だけではなく、学校生活についても指導してくれて、日ごろの言葉はすごく自分に響くものがある」と野球はもちろん、普段の生活への指導を通じて、監督の思いを感じている。

途中、伊東監督は、「もし現役だったら、小倉監督にうちの子を預けたいって思いますよ(笑)」と話していた一方で、「小倉監督と甲子園で必ず戦いたいって思っていましたが、勇退されてしまった」と少し残念そうにしていた。それくらい、名将の率いた日大三との4年間は、何事にも代えがたい財産になったのだろう。

当時の教えを、今度は開智未来の選手たちへ。そうやって愛する教え子を育て続けた先に、チームの強さがあるだろう。

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