今年のドラフトでソフトバンクから4位指名を受け、見事にプロ野球選手の夢を叶えた宇野 真仁朗内野手(早稲田実)。高校通算64本塁打はドラフト指名を受けた高校生野手の中でもNO.1だ。
そのうち公式戦では7本、そのうち木製バットで公式戦5本塁打を記録した。ソフトバンクは三軍、四軍の競争が激しく、高校生野手は1年目に二軍戦にレギュラーで出場するのは難しいチームだ。そんな宇野の将来像について考えていきたい。
まず宇野にとって最も強みとなるのはパワー面だろう。木製バットでも球場が広い八王子球場の中段まで運ぶパワー、インパクトの強さは今年の高校生でもピカイチだ。ただ日によってムラがあり、ストレートに振り遅れて三振というケースも見られる。振り遅れる要因は軸足に体重がかかりすぎてしまうこと。そしてヘッドが下から出てしまうことだ。
この点についてU-18代表の合宿で本人に質問すると、理解はしている様子だった。ただ器用でないため、どうしても悪癖が出てしまう。パワーは優れていても、1年目から安定した成績を残すのは難しいだろう。低打率、そして三振も多くなってしまうのも覚悟しないといけない。それでもソフトバンクが支配下で指名したのは、将来のリターンが大きい選手と見ているからだろう。
また、宇野の無駄のないベースランニングの上手さも見逃せない。「宇野の走塁はベース周りの走塁ですね。どの選手よりも小さく回れて失速しない。ターンの仕方が非常に上手いんです。その走塁もフォーカスされてほしい」(早実・和泉実監督)
それが発揮されたのは、夏の甲子園の鳴門渦潮戦だ。二塁走者だった宇野は、セカンドゴロから一気に本塁に生還した。
和泉監督が宇野の良さを語ってから、初めて見た場面だったので、そのスピードには驚かされた。ソフトバンクは指名選手のデータを綿密に取っていると聞く。このあたりのデータも取っているのではないか。
守備についてはスピーディで、機転が利くプレーもできる。身体能力の高さがうかがえるプレーを見せてくれる。スローイングに不安があるため、しっかりと投げられる状態にすることが先決だが、今のところ、クイックスローで投げられるショート、セカンドが望ましいと見ている。いずれにしても内野手でこれほどの長打力、スピードを持った野手は希少で、重宝される存在となるだろう。
1年目は三軍、四軍の試合から出場することになると思う。宇野が求められるのは高い長打率、盗塁。三振が多くなるタイプになると思うが、それは目をつぶって強打を発揮してほしい。一歩ずつ積み上げて、3、4年目が勝負だと見ている。将来的には山田哲人内野手(ヤクルト)のようなトリプルスリーを狙える選手になるのが究極だろう。それを目指せるだけのスピードとパワーはある。
ソフトバンクの環境でその才能を伸ばすことができるか注目だ。
<宇野 真仁朗(うのしんじろう) プロフィール>
千葉県浦安市出身 2006年7月5日生まれ
2018年U-12代表を経験
市川リトルシニアに在籍していた2021年にシニア日本代表を経験
父の誠一氏は市川シニア監督。現役時代は桐蔭学園でプレー。
3兄弟の末っ子で、長男・隼太朗は桐蔭学園でプレーし、アメリカ留学を経験
次男・竜一朗は早稲田実でプレーし、現在は早稲田大野球部の学生コーチ(4年生)
1年春から公式戦に出場し、3年夏に初めて甲子園に出場した。