3年間で5度のベスト8入り!強さの正体は「マークされても決める」プレー
2021年秋から単独出場が始まった青洲は、2024年の秋までに10大会に出場。ベスト8に5度進出する戦績を残している。まだ4年目に入ったばかりだが、すでに安定した力を確立しつつある。
この力の正体は、佐野監督の経験に基づいた堅実な野球だ。
「送りバントを多用するのはうちの戦い方。それがたとえバッティングにかなり自信を持っている選手、4番打者であってもバント練習は必ずやります。なので、もう他の学校もバレていて、警戒されています。
それくらい試合でも使っていますけど、マークされても決めるのは簡単ではありません。それでもバントを成功させるのは当たり前のこと。そういうプレーだからこそ、ミスは良く見つかるので、練習で気づいた課題をとにかく潰して、大会に入るようにしています」
高校で学んだことだからこそ、佐野監督の野球観の根底にあり、チームとしてブラさない部分として貫いてきた。そうやって毎年チームを作ってきたからこそ、青洲はベスト8まで勝ち上がってきた。
実際、兄が青洲の2期生で、中学生の頃から試合を見てきたという松野の目にも、「バントを上手く使った攻撃、そして自信を持った守備が目立っていた」と振り返る。まだ4年目を迎えたばかりのチームだが、もうチームの伝統の1つになりつつあるといっていいだろう。
その一方で、「それだけじゃベスト8以上の戦いでは厳しい」と佐野監督は分析。山梨を制するには、山梨学院や東海大甲府といった強豪私学が立ちふさがる。その包囲網を突破して全国へ進むには、堅実な野球に加えたアプローチが必要だと考えている。
その答えは取材日の練習模様にあった。
1、2塁それぞれのベース付近に2本の線が引かれており、そこを目安に選手たちがリードを取っている様子が見えた。またそのリードの取り方も、ダイナミックに動く選手もいれば、スタートしたフリをする選手とあらゆるパターンが見えた。
「ファーストリード、そしてセカンドリードを取るときの目安にしていて、センチ単位までこだわって距離を決めています。リードの取り方、出方もアウトにならないようにオーバーに出てみたり、最初は小さくても、セカンドリードで一気に出たり、色んな工夫をして、1本のヒット、1つのエラーで次の塁へ進めるようにしています」
だからアップに対しても、こだわりが強い。取材日、16時過ぎから練習が始まり、既に日が傾いていた状況にもかかわらず、アップに30分ほど時間を費やした。特にダッシュでは、一歩目の速さを意識して、マーカーを活用して切り返しの練習をする姿があった。
「2塁ランナーが1本で還れず私学に負けているので、今やっていることができれば、ベスト4や決勝進出の可能性は広がると思っています」(佐野監督)
実際、この秋には早くも成果が出ており、秋季大会のシード権を決める交流戦で東海大甲府に勝利。目標としてきた強豪私学から白星を挙げて、自信を深めることができた。