各地区に必ず伝統校というのは存在する。全国的に見れば、龍谷大平安広島商などが上がってくる部分だろうか。

作新学院が名門校として君臨する栃木県だと、宇都宮商が栃木の伝統校と言っていいだろう。栃木県勢として最初の代表校として甲子園に出場している。創部100年以上の歴史がある春の関東大会に出場し、甲子園にも春夏4回出場した実績を持つ。戦績はもちろんだが、そこに至るまでにかなりの歴史を積み重ねている。

宇都宮商・野球部訪問①:「正直、ヤバかった」...102年ぶりの夏の甲子園へ、栃木の伝統公立校が令和で目指す野球 「手を抜くことなく、一生懸命にやること」
宇都宮商・野球部訪問②:初の栃木代表校というプレッシャーは「仕方ない」 覚悟を決めた宇都宮商の指揮官・選手たちが見出した突破口

県内屈指の伝統は「力になっています」

そんな宇都宮商のOBであり、現監督である山口晃弘監督は、「やっぱり先輩方はたくさんいらっしゃいますので、プレッシャーがあるのは仕方ないです」と少し苦笑いを浮かべながらも、「それを背負うのが私の仕事です」と覚悟が決まっているようだ。

宇都宮商は山口監督にとって身近な存在。中学生の時から学校近くでトレーニングをやっており、終わったら、宇都宮商のグラウンドを覗いて練習見学するのが日課になっていた。

「当時は関東大会に出場するくらい強かったんです。ただ甲子園どうこうというよりも、『高校生ってやっぱり大きいな』って思いながら、見ていました」

選手たちの中でも、宇都宮商の伝統を感じることがあるようで、主力投手・佐藤琳月投手(2年)は「周りの人たちに宇商といえば伝わるし、進学することを伝えた際は、『甲子園にも言ったことのあるチームだぞ』って教えてもらいました」と話す。そこまでは宇都宮商野球部の伝統を明確に把握してなかったそうだが、「凄く歴史の長いチームだ」と理解したという。

一方で主将・末永大稀内野手(2年)は、「公立なら宇都宮商という考えがあったので、伝統校だという認識はあった」とチームの歴史を理解して、宇都宮商の門を叩いていた。また、エース・藤本琉衣投手(2年)は、「公立の中で強いイメージしかなかった」ということもあり、試合の中で伝統校の一面を感じたという。

「試合になればスタンドに父母の方はもちろんですけど、年配の方々もスタンドにいるのをマウンドからでも理解できました。試合後にも『ナイスピッチング』など、色んな声をかけてもらいます。試合中も応援で力がみなぎるので、なので、OBの存在は力になっています」

同じ投手の鈴木も「OBのために勝ちたい、と思ってパフォーマンスが上がってくる」と先輩たちとのつながりは支えになっているという。

「突破口を開くため」、期待と伝統を背負える強さを追求する!

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