光星学院(現八戸学院光星)の遊撃手として甲子園に4度出場。2年夏から3季連続で甲子園準優勝を経験した北條 史也内野手。11年間プレーした阪神を昨年で戦力外になり、今年から社会人野球の三菱重工Westで活躍を続けている。元甲子園のスターがいまを語る。
■インタビュー前編「阪神からのドラフト指名に戸惑って…」を読む
■インタビュー中編「戦力外を覚悟した日のできごと」を読む
「またプロでやってもお前は無理や」
――戦力外になった後はタイガースアカデミーのコーチ、独立リーグ、社会人野球の選択肢があったと聞きました。
北條 最終的にはタイガースアカデミーのコーチと三菱重工Westで迷っていましたけど、「できるようなら、絶対に1年でも長くやった方が良い」と言われたのが一番印象的で社会人に行くことにしました。 独立リーグだとちょっとプロと似た部分があって、1年間通してやるという生活なので、それよりは社会人野球で僕が経験したことのない、トーナメントのある環境で1回やりたいなと思ったので、ここに決めさせてもらいました。
――色んな方に相談された時に金本知憲さんから「プロはやめておけ」ということを言われたそうですが、その話をどう受け止めていましたか?
北條 「もし声がかかって、またプロでやってもお前は無理や」と言われました。最後の方はファームで過ごした日々が多かったので、またそういう生活になるんだったら、苦しいなとは思いました。家族もいますし、違う環境でやった方がいいかなって思ったので、その一言も僕はちょっと背中を押された感じでした。
――社会人野球について誰かに聞いたりすることはありましたか?
北條 ENEOSで社会人野球を経験していた糸原(健斗)さんには話を聞いてもらいました。他にも社会人野球出身の方はみんな、「社会人野球は面白いから行ってくれ」という話はして頂きました。
「ボール拾いも自分で…」プロと違った環境から日本一奪還へ!
――実際に社会人野球の世界に入ってみてどうでしたか?
北條 色んな経験はできていると思います。環境っていう面ではやっぱりプロとは全く違う部分がありますし、自分たちでやらないといけないことがいっぱいあります。 ボール拾いにしてもそうですし、裏方さんの人数がほぼほぼいないので。でも、それも経験だなというのもあります。
そういう面でも入ってよかったなと思います。都市対抗大会もトーナメントで戦って、1試合に懸ける思いとか、そういうのがまた新鮮だったりしました。僕も社会人野球でどれぐらいできるのかなという思いで入ってきましたので、今のところは野球を楽しんでやれているかなと思っています。
――社会人野球の選手にはプロと遜色ないレベルの選手もいると思います。実際にやられてみて、レベルはどう感じていますか?
北條 プロの方がレベルは高いですけど、強いチームだと試合に勝つためのことなら何でもしますという感じなので。やっぱりシーズンを戦うプロとトーナメントでは違うなって思いますし、そういう野球もあるんだなというのは思いましたね。
――今年は都市対抗野球でベスト8まで勝ち進むことができましたが、実際に出場されてみて、いかがでしたか?
北條 社会人野球はこういうものなのかというのは、都市対抗予選で感じました。応援も凄かったですし、 相手チームも僕らのチームもそうですけど、1球にかけるというか、本当に泥臭くというか、もう勝てばなんでも良いという感じで試合をしていたのが印象的でした。
――都市対抗では2回戦で前回優勝チームのトヨタ自動車相手にホームランを打って勝利に貢献されました。
北條 たまたまホームランを打ちましたけど、相手チームの選手とかも全然わからないですし、前年優勝しているチームだから引いちゃうというか、僕はそういうのがなかったので、逆に良かったかなと思います。でもトヨタに勝てたのは、三菱の選手からしても自信になると思うので、 ホームランを打って勝てたのは良かったかなと思います。
――今後の目標は何ですか?
北條 都市対抗、日本選手権の2大大会で優勝すること。目標ということでは、都市対抗が終わってからそう思いました。そこで優勝するというのをやっぱり味わいたいなというのがあるので、それが一番の目標かなと思います。
――最後にファンの皆様に一言お願いします!
北條 高校野球からプロに入って、 そこで応援して頂いて、その応援のおかげでここまでできていると思います。僕はもっともっと社会人野球が注目されても良いなと思います。見ていて絶対に面白いですし、社会人野球を注目してほしいなと思うので、ぜひ見てもらいたいなと思います。よろしくお願いします!
△トスをあげる北條選手