<第30回MBC旗争奪高校野球選抜1年生大会:神村学園8-2鹿児島実>9日◇準決勝◇平和リース球場

 神村学園鹿児島実。この秋の鹿児島大会決勝と同じ顔合わせが1年生大会準決勝で実現した。

 立ち上がり、神村学園は暴投で先制する。

 鹿児島実は5回裏、7番・若松 壱成の左前適時打で同点に追いついた。5回までは両者がっぷり四つに組んだ展開だった。

 神村学園は6回表、無死満塁から5番・田中 翔大主将の犠飛で勝ち越す。

 7回は二死二三塁から3番・今井 滉士郎の右越え二塁打で2点、8回は相手のエラーと重盗で2点、9回は4番・梶山 侑孔の中越え三塁打と6番・國分 聖斗の犠飛で2点とそつなく加点して突き放した。

 鹿児島実も6、7、9回と先頭打者が出塁したが、神村学園の2番手・龍頭 汰樹の好投と堅守を崩せず、8回に3番・西 友飛の犠飛で1点を返すのが精一杯だった。

 神村学園は8安打で8得点。鹿児島実は9安打で2得点。両者を分けたのは「四死球とエラー」(小田 大介監督)の差だった。

 6回以降の攻撃でそれが顕著に出た。神村学園はバント処理エラーや四死球で好機を作り、犠飛や適時打でそつなく追加点を挙げた。鹿児島実が6回以降で出した5四死球3失策を全て得点に結びつけた。

 一方、鹿児島実神村学園を上回る安打を放ちながら、6回以降で挙げたのは8回の1点のみ。

 8回裏は1点を返してなお一二塁と畳みかける好機だったが、4番・鶴本 晴斗の三遊間に抜けそうな当たりを、遊撃手・山口 源造がダイビングキャッチで好捕。素早く二塁に送球してフォースアウト。神村学園はピンチの場面を好守も出て1失点で切り抜けた。

 更なる失点を食い止めたビッグプレーだったが、ベンチに引き上げてきたナインに小田監督は厳しい言葉をかけた。ベースカバーに入った二塁手・國分は走り抜けるように二塁ベースを踏んだ。普段の状況なら問題ないが、前夜からの雨でグラウンドもぬかるんでいる。確実にアウトにするためにもしっかりベース上で止まってアウトを取るべきという細かい指摘だった。

 1年生大会は「毎回4試合戦うことを目指している」と小田監督。1年生の時点で公式戦の緊張感を経験できる貴重な機会。数多くの試合を経験することが来年以降につながる。前述したような細かいプレーの指摘は実際の公式戦の中でしか体験できないからこその指摘だった。

 1年生大会は10年連続決勝進出し、現在4連覇中。優勝回数7回は樟南と並んで最多タイ。「あすは5連覇と最多優勝の更新を目指します」と小田監督は力強く語っていた。