<第49回社会人野球日本選手権大会 近畿地区最終予選:日本新薬5-1ミキハウス>◇2024年9月18日◇わかさスタジアム京都

 日本新薬がミキハウスを5対1で下して、16大会連続26回目の日本選手権出場を決めた。3試合連続で先発を任されたルーキーの最速151キロ右腕・遠藤慎也が6安打2四球8奪三振で1失点(自責点0)完投。チームに勝利をもたらした。

「ちょっと球が上ずっていたり、ボールを引っかいたりしているところがあった」と2回表に先制点を献上するなど、序盤は苦しい投球が続く。それでも「キャッチャーと相談しながら、ちょっと頭が突っ込んでいるということだったので、それを上手く試合中に修正できました」と尻上がりに調子を上げた。

 6回にはこの日最速の150キロを計測。球威のあるストレートとスライダーを軸に後半は危なげない投球を見せる。残暑厳しい気候の中でも最後まで球威は衰えず、最後までマウンドを守り続けた。

 京都翔英高時代はエースとして活躍。府内屈指の投手と評判だった。期待されて亜細亜大に進学したが、3年生の夏に右肩を負傷。1年ほど戦列を離れた。

 遠藤が苦しむ中、高校同期の岩井俊介(ソフトバンク)と大学同期の草加勝(中日)がプロ入り。「自分に能力がないからああいう舞台に行けないというのは大学を卒業した段階で思っていました」と2025年のドラフト指名を目指して社会人野球の世界に進んだ。

 入社直後から公式戦で登板機会を与えられたが、都市対抗野球の近畿地区2次予選では負ければ敗退が決まる試合で満塁本塁打を打たれるなど、社会人野球の洗礼を浴びた。

「勝負しに行ったストレートを完璧に捉えられて、力のなさを身をもって感じたので、もうこれは練習するしかないと思って、覚悟を持って練習しました」と覚悟を決めた。

 夏場は週に4、5日ペースで100球前後を投げ込み、「大学の時もきつかったですけど、それに匹敵するくらいのしんどさ」というレベルの走り込みを行ったという。心身ともにたくましく成長し、「遠藤で負けたら仕方ない」と鎌田将吾監督からの信頼を得るまでになった。

 この予選では3試合全てで先発を任され、24回3分の1で自責点1の大活躍。若きエースが出てきたことはチームにとっても大きな収穫だ。

 自身初出場の日本選手権に向けて、「勝つためのピッチングを心掛けて、チームのために腕を振りたいです」と意気込む遠藤。4年ぶりに戻ってきた京都の地で躍動を見せている。