日常生活がトレーニングに!手軽で効率的な魔法のトレーニング法
目的に応じたトレーニング方法の作成。それを100%遂行して、しっかりとした休養と栄養補給。突き詰めれば突き詰めるほど、効率の良いトレーニングをするのは簡単ではない。
改めてトレーニングの奥深さ、難しさを感じていたところで、「手軽で、短時間、短期間で効果が得られる」と北野さんがすすめるのが、加圧トレーニングだ。
加圧トレーニングの仕組みをまとめると、
・トレーニング専用のベルトを腕・脚の付け根に装着し、適切に血流制限を行う。
・その状態でトレーニングを実施すると、心臓から運んだ各部位のエネルギーなどが消費されて乳酸という物質が溜まり始めると、筋肉内の受容体が刺激されて脳下垂体より成長ホルモンが分泌されます。
・その溜まった乳酸量に応じて成長ホルモンが15分を目安に分泌される。
・成長ホルモンには、たんぱく質の合成を高める役割があるので、結果的に体づくりが促進される。
この理論は、加圧トレーニング発明者の佐藤義昭氏によって確立されて特許も取得されていたトレーニング法。自身の体を使いながら検証を重ねたことで誕生したそうで、感覚としては「低酸素状態とかありますけど、そういう状態でトレーニングをする」ことに近いという。
方法は、体の一部分だけを加圧する。それだけだが、血流そのものは全身をめぐるため、結果的に全身に対して効果がある。しかも、加圧専用に特別なトレーニングメニューを編成するのではなく、日常生活に落とし込んでトレーニングにすることが可能になっている。
素振りやキャッチボールと言った野球の動作はもちろん、腕立て伏せといった自重トレーニング、さらにはボール拾いやグラウンド整備のタイミングといった、小さな負荷でも加圧をすれば十分、トレーニングの効果があるとされている。かつ筋繊維をほとんど傷つけずに取り組めるので毎日実施することが可能となっている。
実際に筆者も上半身のみ加圧を体験。加圧された状態でじっとしているだけでも、次第に腕が張ってくるのを感じた。手のひらの血色も明らかに変わっているのが分かった。
その後、手のひらを握るといった単純な動きを繰り返してみたが、わずか数回で疲労感に襲われた。加圧トレーニングの効果をすぐに体験することが出来た。
また取材後、導入されているチームの様子を見させてもらった。「低負荷でも、通常よりも効果が大きい」ことを理由に実施しているそうで、その日はアームカールといった肘の曲げ伸ばしを20回程度やるだけでも「キツイ」という声が漏れてきたのを聞いた。その後の腕立て伏せでは、厳しい表情になりがら取り組む選手たちの姿が見られた。いかに加圧が単純かつ少ない負荷でも、体に対して大きな効果を及ぼしているのか、十分理解出来た。