この1着があれば何でも出来る!
このようにトレーニングに着用するのはもちろん、アップなどちょっとした場面が加圧トレーニングに充てられる。その手軽さを実現出来るのも、加圧ウエアだけの持ち味と言っていい。
「よくあるのが、グラウンドが離れた場所にあって、『アップの時間が惜しい』っていうチームが、加圧ウエアを使って移動中でも出来るようなトレーニングをやる。血流を制限しているので、心拍数を高めて、体を温められる。そのうえでグラウンドに着いたら、少しだけアップをやって、すぐにボールを使った練習に入るというような時間効率を高めるチームは多いです。
その一方でダウンやストレッチなどの回復などに使うケースもあります。加圧トレーニングで成長ホルモンが分泌されてたんぱく質も作られるので、疲労にも効果がある。実際にケガしている選手がリハビリに入った際に、加圧トレーニングに取り組んで早期復帰をしようとしている選手もいます。なので、1着あれば色んなことに生かせると思います」(北野さん)
加圧トレーニングの効果を再認識するとともに、手軽に取り組めることを実現した加圧ウエアの存在の大きさを感じた。その点は、北野さんも同意見だった。
「高校野球は実質2年半、881日しかない。そのなかでいかに効率よくパフォーマンスを高めながら、体づくりが出来るか。そこがポイントになりますけど、技術練習をメインにすれば体づくりの時間が足りず、筋肉を減らす。結果、パフォーマンスを下げるし、疲労を残しがち、というチームが多い状況です。その点、加圧ウエアは色んな使い方が出来ますし、かなり効率よく出来るので、非常に有用的だと思います」
サッカーをはじめとした他競技、個人レベルで見ればオリンピック選手も取り入れるほど浸透し始めている加圧トレーニング。それをいつでも実践出来る加圧ウエアは、多くの球児にとって頼もしい味方にはなる。ただ、北野さんの持論では、現在も取り組んでいるようなウエイトトレーニングもこなす必要性があると訴える。
「加圧トレーニングを通じて、筋肥大は出来るので、体は大きくなります。けど大きなパワーを瞬間的に発揮することが野球には求められます。その時に発揮できる出力の上限を引き上げるためには、普通のトレーニングを通じて最大筋力を高めないといけない。
だから、ウエイトで重いものを持ちあげてパワーを高めてあげて、さらに加圧トレーニングで低負荷で追い込んであげることで、効率よく体を作ることが出来ると思っています」(北野さん)
今年の夏に体感した暑さは、今後も続くだろう。酷暑の中で闘い続けるタフネス。また2024年から導入された新基準バットへの適応は必須になる。バット性能を凌駕するパワー&スピード。あらゆる要素が体づくり、トレーニングには求められる時代だ。
練習時間が短くなってきているなかで、それらを技術力向上とともに達成するためにも、加圧トレーニングは「凄く重要になってくるんじゃないかなと思います」と北野さんは訴える。ただそれは時代背景だから、ではなく、選手たちのことを思うからこそだった。
「選手たちは上手くなろうとひたすら練習をやりますけど、すると同じ箇所にストレスがかかる。結果、ケガに繋がるので、基礎的な体力を鍛えるために、様々なトレーニングで体づくりをしてくれています。
だけど、そのトレーニングが間違っていて、ケガをしてしまう選手もいるんですよね。私はそれをなくしたい、と強く思っています。やっぱり選手たちには、少しでも長く選手人生を歩みながら、上手くなってほしいという願望があります。
だから正しいトレーニング法を伝える努力はしますし、今回紹介した加圧トレーニングでストレッチをすれば、通常よりも効果が大きいので、ケガ防止になる。シーズン関係なく手軽に、効率的にトレーニングをして、ケガをしない体づくりが出来ることを考えても、凄く重要になると思っています」
1着あれば、あらゆる場面で加圧トレーニングが出来る加圧ウエア。より短時間で結果を出し、ライバルたちに追いつき、追い越すための秘密兵器として、必ず選手たちの下支えになることを、期待せずにはいられなかった。
【フィジカル強化でかっ飛ばせ特集】のアーカイブはこちら
第1回:270チーム以上で実施!メジャーリーガーも経験した、30年以上の歴史もつ体力測定・ゼット測定が凄い...
第2回:高卒ドラ1選手は500キロ弱増量!急成長する選手・チームが示す、体力測定の重要性ってナニ?!
第3回:「オフシーズンには体重と体脂肪を増やして」!一冬で上手くなるための極秘ポイント
剛腕、アーチスト、スピードスター...理想の選手へ、フィジカル強化で欲しいスキルをゲットだぜ!
第4回:最大290倍の変化?!オリンピアンも実践する加圧トレーニングを高校球児もできる魔法のウエア
番外編:令和の高校野球に「体の強さは必要不可欠!」 浦和学院の青年監督が考える、酷暑、新基準バットに適応する条件
「勝つか負けるかの世界」で求められる体 30代の青年監督が語った、夏に勝てる必要条件
海外の高級車みたいじゃなくて… 浦和学院の青年監督が考える、令和の選手に求めるフィジカル
NPB指名クラスのじゃないと「全国で勝負できない」 浦和学院が目指す体づくり
ドラフト候補もかつては「体が弱かった」…浦和学院の青年監督が実践した常勝チーム、逸材の育成プラン