9月7日、独立リーグ・日本海リーグで初優勝を飾った石川ミリオンスターズ

 今年一年は能登半島地震を経験し、球団としてもとても苦しいシーズンの始まりとなったが、これまで所属してきたリーグを含めても11年ぶりのリーグ優勝となり、記憶に残る一年となった。

 また、震災で被害の大きかった地域の一つ、珠洲市の人々にとっても、石川ミリオンスターズの日本海リーグ初優勝は、勇気づけられる勝利とあった。

今シーズン、日本海リーグ優勝を果たした石川ミリオンスターズ

 石川ミリオンスターズと珠洲市との交流は深く、毎年珠洲市営球場でも試合を行い、地域の人々との交流を深めていた。

 元旦の震災を受けて、球団の所属選手のうち4名が輪島、能登、穴水などの実家で被災したものの、球団として「地域に根差したプロスポーツチームだからこそできる活動を」と翌2日以降、精力的に物資運搬など球団職員を中心に動いてきた。

 球団代表の端保聡は当時のことを「独立リーグ球団をはじめ、全国の野球関係者の皆様に多大なるお心遣をいいただき、本当に有難く、感謝の思いでいっぱいでした」と振り返る。

 また、2月11日には、イースタン・リーグに加盟する新潟球団のスポンサーであるオイシックスと共に、新潟・富山・石川の3球団で、珠洲市を訪れ、避難所で暮らす方々に一足早いバレンタインとしてお菓子を配ったり、子どもたちとキャッチボールも行った。

避難所を訪れる石川ミリオンスターズの選手たち

 それでも、端保は能登地区の被災の様子を目の当たりにし、今シーズンはもう野球はできないかもしれないと感じたという。

「珠洲から金沢に帰ってくる時。車を運転しながら、これからどうなるのかとものすごく不安になって、そのあとの記憶がなくなりました。1月は県外の野球関係者の方などから、たくさんの支援物資をお預かりし、各行政に指定された場所への搬送で、日々動いていたので気持ちもそこに向かっていたのですが、いざ珠洲で、がれきだらけの状況を目の当たりにして、本当に僕たちは野球が続けられるのかと、ものすごく暗い気持ちになりました」

 それでも、18年前に球団をゼロから立ち上げ、これまで石川ミリオンスターズを守り抜いてきた端保にとって、石川の地で活動を続けることこそ、今自分たちができることだと考え抜いた。

「今回の震災で、全国の野球関係者の方々をはじめ、多くの人たちの支えを感じながら、改めて野球の力というものを感じました。そして、日本海リーグ初優勝後に、最終戦と優勝セレモニーを珠洲で行うこともできました。珠洲の方々と、優勝の喜びを共有させていただくことができて本当によかったです。今シーズンは限られた環境の中ではありましたが、野球には地力があって、それを感じることができた一年にもなりました」そう端保は2024年を振り返る。

子どもたちとキャッチボールをする石川ミリオンスターズの選手

 能登半島の復興までは、とても長い時間を要するが、石川県のプロスポーツチームとして、この地でできることを続けていく。プロスポーツで石川県を盛り上げたい。そんな端保の強い思いと共に、珠洲市の人々の思いも乗せて、石川ミリオンスターズはリーグ連覇に向けて歩み出す。