11月19日より始まった三機サービス杯 第3回全日本大学準硬式野球東西対抗日本一決定戦 甲子園大会(以下、甲子園大会)。2022年から始まった今大会も3回目を迎え、今年も全国各地から選ばれた選手たちが大阪に集結した。

大会初日は開会式とインテグリティ研修を実施。開会式では、東日本、そして西日本選抜の監督や選手たちが登壇。初めて甲子園大会に選出された東日本選抜の久保嶋真也主将(桐蔭学園出身)は、「2連覇がかかっているので、しっかりと勝利したい」と意欲を示した。同時に初めての甲子園に「ワクワクしています」と野球人の血が騒いでいるようだ。

前回大会のリベンジに燃える西日本選抜の伊藤元翔主将(初芝橋本出身)も「絶対に日本一を獲ろう」とチームに発破をかけるなど闘志を前面に出した。久保嶋同様に試合が待ち遠しいようだが、一方で「研修や交流、そのすべてが甲子園大会だと思っています」と野球以外の時間の大切さを強調した。

伊藤が話したように、甲子園大会は第1回から試合以外にもあらゆるイベントを開催。実際この日は、開会式後に上田大介さんによるインテグリティ研修を開催。上田さんは2018年からJOC(日本オリンピック委員会)でトップ選手たちの教育活動を担当。在籍期間以外も含めてプロ野球選手、メダリストなど計12年間で3000~4000人ほどトップアスリートに指導してきた実績を持っている。

そんな上田さんによる90分間の研修では、大谷翔平の一言や81マスの目標達成シートを映しつつ、ときにはオリンピックでメダルを獲得した他競技のアスリートのエピソードなどを惜しげもなく披露。夢を叶えられる人、そうでない人の違いを指導。そのうえで、夢を叶えるための上田さんの考える思考法をレクチャーした。
さらには途中、今回のパリ五輪の日本代表選手団の編成方針を紹介。その中にも記載があった「人間力なくして競技力向上なし」という一言を最後に強調した。

「ただ強いだけでは世界には連れていけませんでした。チームジャパン、これは人間力なくして競技力向上なし。これを根幹に据えて、行動規範を重視、ルールを守ることが出来て、各国・地域と友好親善に寄与出来る人じゃないとダメ。つまり、ちゃんとやってくれる人、イコール信頼に値する人間力があるかどうか。それをもって日本代表選手団を編成しているわけです。つまり現実的に、人間力はあるのか。ちゃんとできているのか、そこをしっかり求めていました」

参加した東日本選抜の学生委員長・佐藤元介さん(昭和出身)は、「甲子園大会に来た意義っていうのを具体的に可視化できた」と今大会の重要性を再認識した。一方、西日本選抜の学生委員長・川原巧太郎さん(春日出身)は「支える立場の視点しかなかったので、選手たちの視点として何があるのか気づくことが出来た」と視野が広がったようだった。

こうしたイベントを通じて社会で通じる人材を育てることこそ、準硬式の魅力であり、今大会の趣旨である。佐藤、川原に限らず、多くの学生たちが90分間の研修を真剣に聞いて、メモを取っている姿が多く見られた。その姿は、大会趣旨を理解し、自信の成長に繋げていることが十分に伝わってきた。この内容を大会終了後、自チームへ持ち帰り、伝えて浸透させることが出来れば、準硬式はもっと魅力ある選手・チームが増え、準硬式界全体の発展になっていくことだろう。

大会2日目は大阪シティ信用金庫スタジアムにて、練習及びプレ試合。さらには企業交流、キャリアガイダンスなどが予定されている。

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