21日に甲子園にて開催される準硬式の全国大会、三機サービス杯 第3回全日本大学準硬式野球東西対抗日本一決定戦 甲子園大会(以下、甲子園大会)。19日より出場メンバーは大阪に入り、初日は人材育成を目的としたインテグリティ研修のみに参加。2日目の20日はプレマッチを開催して、サインなどの確認を行った。

試合は東日本選抜が3対0で西日本選抜に勝利。5回に途中出場・米倉希胤内野手(仙台育英出身)の内野安打などで2点を先制。その後、8回に相手バッテリーのミスでダメ押しの3点目を追加。このリードを東日本選抜の投手陣がシャットアウト。0封リレーで西日本選抜を下した。

2連覇へ幸先よいスタートを切ったが、主将・久保嶋真也内野手(桐蔭学園出身)は「ヒットが少なかった」と反省の一言。西日本選抜の細かな継投に対応できなかったことを課題に挙げた。だが、「バットは振れているし、守備も悪くなかった」と調子そのものは良いと評価。だからこそ、「球場の緊迫感ある雰囲気のなかで、どれだけ守れるか」をポイントに掲げた。

その点においては愛知大・廣田幸之助内野手(至学館出身)も「もっと雰囲気は良くできる」と話す。そのうえで、「投手陣を中心にリズムを作って、雰囲気を持ってこられるようにしたい」と語った。

その投手陣だが、久保嶋主将が「速球が凄かった」と太鼓判を押したのが、中京大・西村祐人投手(中京大中京出身)。最速145キロを武器とした快速球が持ち味の剛腕で、この試合も2番手で登板。ヒット1本許したが、無失点でマウンドを降りた。夏の全国大会を終えてから蓄積疲労を抜くために、ノースローを入れながらスローペースで調整。甲子園大会に向けて準備してきた分、この試合では「上手く投げられたと思います」と手ごたえのあるマウンドだったようだ。

自身の夏は新型コロナウイルスの影響で、夏の甲子園が中止。独自大会で優勝したものの、甲子園には行けなかった。その悔しさもある分、「選ばれたときは嬉しかったですし、気持ちは高ぶっています」と甲子園が待ち遠しいようだった。

一方で悔しい敗戦となった西日本選抜。ただ主将・伊藤元翔内野手(初芝橋本出身)は「試合前に監督からは『積極的に行こう」という話がありましたので、失敗を恐れずにやろう」と攻めた結果だったと振り返る。そのうえで、「エラーをなくせば、もっと攻撃はスムーズになるだろう」と勝利のポイントを挙げた。

なかでも投手陣であれば、福岡大・原田拓海投手(久留米商出身)が目立った。「力感のないフォームで強いボールが来ていた」と伊藤主将が話せば、実際に打席に立った東日本選抜の久保嶋主将も「地を這うようなストレートだった」と評価した。

原田は高校時代、外野手だったが、福岡大から投手になった143キロ右腕。2020年のドラフトで西武5位になった福岡大のOB・大曲錬投手(西日本短大付出身)のおかげで準硬式を知っていたという原田だが、久留米商時代は甲子園に出場できず。西日本短大付が同地区にいるなど、激戦区・福岡を勝ち抜けず、悔しい思いをした。その分、「甲子園は楽しみです」と楽しみにしている。野球人生の集大成に位置付けている甲子園での快投を期待したい。

さらに野手陣では、両チーム唯一の長打を放って好調ぶりを見せた西日本選抜・波多野悠大内野手(神戸弘陵出身)も、甲子園大会ではカギを握りそう。

波多野自身も「状態は良いと思います」とコンディションは良好。原田たち同様、高校時代は甲子園に出場が叶わなかった。加えて明石商や神戸国際大附といったライバルたちが大勢いた兵庫県にいた。神戸弘陵も実力校だが、現役時代はベスト8が最高戦績。あと一歩で優勝には届かない。甲子園はおひざ元だったが、遠い存在だった。だからこそ、「集大成として戦うので、楽しみです」と心待ちにしているようだった。

高校時代に新型コロナウイルス、または県内のライバルたちの前に悔し涙を流した選手ばかり。その時の悔しさを晴らす。あの夏の忘れ物を取りに行くべく、21日はいよいよ夢舞台に乗り込み、甲子園大会を開催する。

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