この秋も各地で熱戦が繰り広げられたが、なかでも埼玉は大きな話題となった地区の1つだ。浦和実が頂点に立ち、関東大会でもベスト4進出。センバツ出場へ大きく前進した。

ゆえに浦和実が春の大会でも躍進なるか、期待が高まるが、他にも気になる学校は多い。秋ベスト8・狭山ケ丘も、その中の1つだ。

再就任となった指揮官が貫く「自分で気づかないといけない」指導

「夏休み期間中にひたすらバットを振り込んだんです。それで打力がついたので、バッティングには自信がありました。また、秋の目標は関東大会出場だったので、早い段階でAシードの昌平と対戦することになったのが、逆に闘志に火がつきました」

現在、チームをまとめる野村創汰内野手(2年)は、秋の勝ち上がりを振り返る。

狭山ケ丘は県大会で初戦・細田学園、そして昌平に勝利してベスト8まで勝ち上がった。準々決勝で西武台に敗れたが、7対9と終盤まで競り合った。

しかし、指揮官・熊谷昌人監督は、「(春に向けて)サイズアップしないと、今後勝負できません。技術も繰り返し練習して定着させるだけなので、四の五の言わずにとにかく練習。鍛錬するしかありません」と評価は厳しい。夏休みに続いて、冬場も厳しい練習が待っているだろう。

その熊谷監督、就任したのは2023年の夏ごろ。野村主将たちが入学してまもなくのタイミングだった。前回の監督時代から12、13年の時を経て、改めて就任したが、選手たちは「以前に比べて自分たちとの距離が近く、ミーティングの時も笑わせてくれる。優しい監督です」と親しみやすい指揮官だと話す。

実際、練習中に選手たちとコミュニケーションを取って、距離を縮めている様子が時折見られた。野村主将の言うことが間違いではないことは十分わかった。

でも、そのコミュニケーションは積極的に取られているわけではない。基本的には「選手たちの変化を見ることが仕事だと思っています」ということで、あまり指示を出すわけでじゃなく、じっと静観していることが多い。あくまで「まずは自分で気づかないといけないです」と選手たち自らが考えて、熊谷監督自身の意図に気付かせるようにしているというのだ。

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