145キロの速球投手を目指す!
そんな芦川を救ったのは、当時エースだった佐藤里薫投手(現神奈川工科大)の存在だったという。
「佐藤さんはスライダーの切れが凄い方だったんですが、その人からあらゆることを教わる中で、リリースの位置を一定にできましたし、空振りも取れるようになりました」
その佐藤のおかげで1年生の夏から公式戦での登板機会を勝ち得た芦川はその後も、積極的にトレーニング法を含めて話を聞くようにした。球速、球質ともに課題だったストレートをレベルアップさせて、ストライクゾーンで力勝負できる。ピッチングの幅を広げるために佐藤に助言を求め、真っすぐを磨いてきた。
また、ある投手を参考にしてきたことも、芦川の成長の支えになってきた。
「フォームに無駄なくきれいですし、制球力が高くて球種も多彩。だからメジャーでも活躍できると思うので、今永(昇太)さんみたいになりたいと思って研究して真似はしています。特に重心移動だったり、軸足の使い方だったりはよく見ています。上手く股関節に力を溜めて投げているので、意識しました。
そうしたら、トレーニングのおかげもあってか、2年生の春にはかなり重心移動が速くなって、球速も130キロまで伸びてきて、回転数も2200~2300くらいまで上がってきました」
その後も成長を続けてきて、136キロまで引き上げてきた。おかげで「ストレートで抑えられますし、カウントを有利にできるようになって、変化球で勝負が出来る」と確実に思い描いたような力勝負できるピッチングが確立され始めた。
だが、ライバル・東海大相模には勝負所で甘くなったボールを長打にされた。「感覚がとてもいい日だった」と調子が良かっただけに、失投を悔やんでいたが、まだ春、夏と大会は残っている。
芦川は「トレーニングをやりこんで、145キロまで伸ばすことが出来れば」とパワーアップを狙う。現在、75キロある体重を、80キロまで増やしてスピードアップをさせるつもりだ。
その覚悟の強さは、こんな話にも詰まっている。
「自分は先輩たちの春から1番を背負わせてもらっているのもあって、今は副主将です。ですから、もっとレベルアップしないといけないし、副主将としてチームもまとめないといけない。だから、このオフシーズンにどれだけ追い込んでシーズンを迎えるか。
シーズン中も毎回調子よくマウンドに上がれるわけではないはずなので、そのときにどうやって試合を作るか。どうやって勝利に導くか。その辺りを理解したうえで、考えて投げるようにしたいです」
既に県内屈指の好投手として期待されている芦川。そこから頭1つ抜けた存在となれるのか。立花学園の躍進のカギを握るエース左腕の覚醒を心待ちにしたい。