今オフ、プロ野球界では7選手が国内FA権を行使した。大山 悠輔つくば秀英出身)の阪神残留が決まり、残る最大の注目選手は、ソフトバンクの絶対的正捕手・甲斐 拓也楊志館出身)だ。球界を代表する捕手の1人である甲斐には、巨人が獲得に乗り出していると報じられている。

 捕手は投手とのコミュニケーションが重要なポジションであり、環境が変われば、新たに移籍先の投手の特徴を知り、配球を構築していく必要がある。特殊なポジションであるがゆえ、移籍先で出場機会を増やせず、苦戦するケースも多い。直近10年で7人の捕手がFA移籍したが、半数以上が出場機会を減少させている。

 その最たる例が2022年オフに横浜からソフトバンクにFA移籍した嶺井 博希沖縄尚学出身)だ。嶺井は2022年に横浜で正捕手格として93試合に出場したが、移籍初年度は44試合と出番が半減。2024年は4試合の出場にとどまっている。

 日本ハムの正捕手として活躍した大野 奨太岐阜総合学園出身)もFA移籍後は出番が減少。FA移籍前年のシーズンでは83試合に出場したが、移籍初年度の2018年は63試合、翌2019年は32試合にとどまり、その後は一軍での出番がほとんどなく、二軍暮らしが続いた。

 そのほかにも、2014年オフにヤクルトから巨人に移籍した相川 亮二(東京学館出身)も出場機会が減少。2022年オフに移籍した森 友哉大阪桐蔭出身)はオリックスでは指名打者での起用が増え、捕手での出番を減らした。

 伏見 寅威(東海大四:現東海大札幌出身)、炭谷 銀仁朗(平安:現龍谷大平安出身)は移籍前年に比べやや試合数を増やしたが、ほとんど変動がなかった。

 仮に甲斐が移籍した場合、ソフトバンク時代と同様の出場機会を得ることができるのか、その点も注目だ。