元プロ監督も評価する芹澤のストレートの凄み
芹澤大地投手
愛知県選抜の監督として合流後の練習で芹澤を見てきた杜若の元プロの田中祐貴監督。現役時代はオリックス、ヤクルトで通算28勝を挙げる右投手として活躍した。引退後は帝京大可児のコーチとして153キロ右腕・加藤翼(前中日)を輩出。22年4月から母校・杜若の監督に就任し、この夏、4強に導いており、好投手育成に定評のある指導者である。
田中監督は芹澤のストレートの球質をこう絶賛した。
「合同練習でブルペン投球を見ていて、久々にワクワクするストレートを見せていました。帝京大可児のコーチ時代を含めてもなかなかいないですね。それぐらい凄いストレートを投げます。投球フォームを見ても、体の使い方、力の伝え方が非常に上手い投手だと思います。
球質については投げてから途中からだんだん速くなるイメージです。彼の場合、リリースしてから途中から10メートルぐらいの加速の仕方がちょっと見ないレベルです。だから投手の後ろから見ても、ある意味、“高校生らしくない”。加速し続けながら、キャッチャーミットに入ります。彼が投げる中で、良いストレートを投げると、捕手がまともに捕れない感じがありますね。
僕もプロを引退して10年以上経っていて、その期間でNPBのレベルはかなり上がっています。なので、偉そうなことをいえませんが、好調時のストレートの球質の良さはプロの世界にいてもおかしくないものがあります」
今の高校野球では140キロ台の速球を投げる投手も多く出てきている。愛知県選抜、三重県選抜の試合では140キロを超える投手が芹澤を含めて4人もいた。その中でも芹澤の球質の良さはずば抜けている。
「次のステージはどこにいくのか分からないですけど、上に上がっても間違いなく通用する投手ですね。その姿を練習で見ているからこそ、今日の投球を期待していたのですが、やはり緊張があったのか、力みが見られました」(田中監督)
交流試合の投球は本来の投球ではなかった。それでもずっと追跡していきたいと思わせるスケールはあった。変化球の精度に加え、現在の体重68キロと細身で、体重増加も課題だ。
スカウトから注目される存在となったが、芹澤自身、「この1年でしっかりと考えていきたいですね」と決断はまだ先だ。
2025年は全国的に注目を浴びるようなパフォーマンスを見せることができるか。芹澤の野球人生を左右する勝負の冬が始まる。